紹介予定派遣とは?メリット・デメリットや他の採用手法との違いを解説

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紹介予定派遣とは?メリット・デメリットや他の採用手法との違いを解説

人材採用において「採用してみたものの、思っていた人物像と違った」というミスマッチは、企業にとって大きな損失につながります。特に実務レベルや職場適性に関しては履歴書や面接だけでは判断が難しい要素が多く、採用前と採用後でイメージのすれ違いが起きてしまうケースが多く存在します。

そうした課題を解決する手段のひとつが「紹介予定派遣」です。

紹介予定派遣は最大6カ月の派遣契約を経たうえで、双方の合意があれば直接雇用に切り替える制度であり、採用の最終判断を“現場での実働”によって見極められるという点で、多くの企業が導入を進めています。

本記事では、紹介予定派遣の基本的な仕組みから導入の流れ、他の採用手法との違い、企業側の注意点までを徹底解説します。この記事を読むことで紹介予定派遣が自社の採用戦略にとって有効かどうかを正しく判断できるようになります。

採用のミスマッチを防ぎ、より良い人材とのマッチングを実現したい企業のご担当者様は、ぜひ最後までご覧ください。

 

紹介予定派遣とは

紹介予定派遣の基本的な仕組み

紹介予定派遣とは、正社員または契約社員としての直接雇用を前提に、最長6カ月間の派遣契約を結ぶ採用形態です。派遣期間中に企業と派遣スタッフの双方が業務内容や職場環境、適性を確認し、双方が合意すれば派遣終了後に直接雇用へと切り替えられます。

この形式では、派遣スタッフは派遣会社と雇用契約を結びますが、派遣期間終了後に就業先企業が職業紹介を受け、直接雇用契約を締結します。その際、就業先企業は派遣会社に紹介手数料を支払います。

これは、企業と求職者がお互いを見極める期間を設けた採用スタイルと言えます。
単なる即戦力確保ではなく、中長期的な人材の定着を視野に入れた制度です。

一般派遣との違い

通常の派遣(一般労働者派遣)では、派遣スタッフは派遣元企業と雇用契約を結び、就業先での勤務期間中も雇用主は派遣元のままです。一方紹介予定派遣では将来的な直接雇用を前提としている点で大きな違いがあります。

また、一般派遣は契約期間に上限がある一方で、紹介予定派遣は、最大6カ月にて派遣スタッフを社員として採用することを前提とする点に違いがあります。

この点から、紹介予定派遣は「採用ミスマッチを防ぐ手法」として注目されています。

紹介予定派遣 一般派遣(一般労働者派遣)
目的 直接雇用が前提 労働力の確保
雇用主 派遣期間中:派遣会社

直接雇用後:就業先企業

派遣会社
派遣期間 最長6カ月 原則3年
事前の選考 可能(面接、履歴書確認など) 不可(労働者の特定行為は禁止)
契約終了後 双方合意で直接雇用へ移行 契約終了

 

詳細は厚生労働省が作成した資料でもご確認いただけます。

紹介予定派遣の導入メリット

採用ミスマッチを徹底的に防げる

紹介予定派遣の最大のメリットは採用におけるミスマッチを未然に防げる点です。

通常の中途採用では、書類選考や面接だけで候補者のスキルや人物像を判断しなければなりません。しかし、それだけでは実務能力やチームとの相性まで正確に見極めるのは困難です。

紹介予定派遣では、派遣期間中に実際の業務を通じて候補者の働きぶりを直接評価できるため、採用後に「想定と違った」という事態を回避できます。社風やコミュニケーションスタイルとの相性といった、数値化しにくい要素の確認にも非常に有効です。

実際の業務を通じて本質的な適性を見極められる

履歴書や面接での印象と実務におけるパフォーマンスにはギャップが生じることが少なくありません。

紹介予定派遣では派遣期間中に候補者の仕事への取り組み方、指示の理解度、周囲との連携力などを具体的に観察できます。

特にITエンジニアやWebディレクターといった専門職では、保有スキルだけでなくプロジェクトへの適応力や課題解決能力が成果を大きく左右します。

こうした実務レベルでの“本当の適性”を事前に確認できることは、長期的に活躍する人材を確保するうえで大きなアドバンテージとなります。

スピーディーな人材確保と早期の戦力化

紹介予定派遣は、迅速に人材を確保できる点も大きな魅力です。一般的な人材紹介では選考から入社までに1カ月以上かかるケースも多いですが、紹介予定派遣ではスピーディーな就業開始が期待できます。

また、派遣会社があらかじめ業務内容や求める人物像をヒアリングしマッチング度の高い人材を選定するため、候補者は配属後すぐに業務に対応できるケースが多く、早期に戦力として活躍してもらいやすい点も特徴です。

紹介予定派遣のデメリットと注意点

採用に至らない可能性がある

紹介予定派遣は直接雇用を前提としますが、必ず採用に至るとは限りません。派遣期間の終了時に企業側もしくは派遣スタッフ側のいずれか、あるいは双方が直接雇用を希望しなければ、契約は成立せずに終了します。

そのため、採用計画に遅れが生じるリスクがあります。人員補充を見込んでいた場合、再度募集や選考を行う必要があり時間的なロスにつながります。

派遣期間中に採用の判断基準や期待する役割を社内で明確にし、派遣スタッフにも共有しておくことが重要です。

派遣期間中の管理コストが発生する

派遣期間中、派遣スタッフは職場で実務に携わるため企業側には一定の管理責任が生じます。日常的な業務指導やフィードバック、評価体制の整備など、社員と同様のマネジメントコストが発生します。

特に「どのような基準で採用の可否を判断するのか」「業務に必要なサポート体制」などを事前に整備しておかないと、後のトラブルにつながる可能性があります。評価者が不明確であったり判断基準が曖昧だったりすると、制度そのものが形骸化する恐れもあるため注意が必要です。

直接雇用時に紹介手数料が発生する

紹介予定派遣を利用して直接雇用へ切り替える際、派遣会社に対して紹介手数料が発生します。これは一般的に内定者の理論年収に一定の料率を乗じて算出されます。

派遣期間中の派遣料金に加えてこの手数料が発生するため、総コストを事前に把握しておく必要があります。ただし採用のミスマッチによる早期離職や再採用にかかるトータルコストと比較すれば、結果的に費用対効果が高いと判断する企業も少なくありません。

紹介予定派遣の採用の流れ

1. 申し込みから派遣スタッフの就業開始まで

紹介予定派遣のプロセスは、まず企業が派遣会社に対して業務内容・必要スキル・勤務条件といった求人要件を伝えることから始まります。派遣会社はその要件をもとに、登録者の中から適切な人材を選定し、候補者を企業に推薦します。

企業側は推薦された候補者の情報をもとに、直接雇用を前提とした面接やスキルチェックを行うことができます。これは、採用を前提としない通常の労働者派遣と大きく異なる点です。双方が合意に至れば、企業と派遣会社の間で労働者派遣契約を締結し、派遣スタッフの就業がスタートします。

この段階で「将来的な直接雇用を目的とした契約である」ことを企業・派遣会社・派遣スタッフの三者で明確に共有しておくことが、後のプロセスをスムーズに進めるうえで非常に重要です。

2. 派遣期間中の評価と判断

派遣期間中(最長6カ月)、企業は実際の業務を通して派遣スタッフのスキル、人柄、職場への適応力などを観察し、直接雇用の可否を慎重に判断します。評価すべきは業務遂行能力だけでなく、勤怠、報告・連絡・相談の質、チームとの連携、主体性など採用後の定着と活躍に直結する多面的な要素です。

評価の客観性を保つため、一人の担当者だけでなく複数の社員が関わり、事前に用意した評価シートなどを用いて判断するのが理想的です。判断基準を明確にしておくことで、評価のブレを防ぎ派遣スタッフにとっても納得感のある結果につながります。

また、評価の進捗状況は派遣会社とも定期的に共有しましょう。これにより、派遣会社から派遣スタッフへのフォローや必要に応じたサポートが的確に行われ、ミスマッチの解消や成長促進が期待できます。

3. 直接雇用への切り替えプロセス

派遣期間終了が近づいたら、企業と派遣スタッフ双方の意思確認を行います。双方が直接雇用に合意した場合企業は派遣会社に紹介手数料を支払い、派遣スタッフと直接の雇用契約を結びます。

その際、正社員または契約社員といった雇用形態、給与や待遇などの労働条件を明記した「労働条件通知書」を交付し、雇用契約書を締結します。条件が曖昧なままではトラブルの原因となるため、書面で明確に提示することが法律で義務付けられています。

スムーズな移行のためには、派遣期間終了の1カ月前を目安に最終的な意思確認の面談を設定し、合意形成を図ることが推奨されます。

 

評価カテゴリ 具体的な確認ポイント
業務遂行能力 ・指示の理解度、業務の正確性・スピード

・担当業務に関する知識・スキル

・問題解決への取り組み

協調性・コミュニケーション ・報告、連絡、相談が適切に行えるか

・チームメンバーと円滑な関係を築けるか

勤務態度・主体性 ・勤怠状況(遅刻、欠勤など)

・業務に対する積極性、責任感

・自ら課題を見つけ、改善しようとする姿勢があるか

紹介予定派遣が向いている企業・職種

こんな企業におすすめします

紹介予定派遣は特に採用のミスマッチを避けつつ、即戦力となる人材を効率的に確保したいと考えている企業に適しています。具体的には以下のような課題を持つ企業で効果を発揮します。

  • 採用に多くの時間をかけられない企業

中小企業やベンチャー企業など、人事部門のリソースが限られている場合、紹介予定派遣は募集から選考までの工数を大幅に削減できる有効な手段です。

  • 従業員の定着率に課題がある企業

採用後の早期離職に悩んでいる企業にとって、事前に働きぶりや社風との相性を確認できるこの制度は定着率の向上に直結します。

  • 専門スキルとカルチャーフィットの両方を重視する企業

IT・Web、クリエイティブ、マーケティングといった業種では、専門スキルと同じくらいチームとの連携や企業文化への適応が重要です。紹介予定派遣は、この両面をじっくり見極めるのに最適です。

  • 高い定着率が求められる職種を募集する企業

一般事務やカスタマーサポートなど、顧客対応や社内連携が業務品質に直結し長期的な活躍が期待される職種でも、本人の適性を事前に確認できるメリットは大きいと言えます。

適性のある職種の具体例

紹介予定派遣が特に有効な職種は、大きく2つのタイプに分けられます。

一つは、専門スキルと実務での対応力の両方が求められる職種です。ポートフォリオや職務経歴書だけでは判断しきれないプロジェクトへの適応力やチーム内での実践的なスキルを見極めることが重要になります。 (例:ITエンジニア、Webディレクター、Webデザイナー、データアナリストなど)

もう一つは、社内外でのコミュニケーション能力や協調性が重視される職種です。スキル以上に人柄や職場環境との相性が長期的な活躍と定着の鍵を握ります。 (例:一般事務、営業事務、人事・総務、カスタマーサポート、秘書など)

職種のタイプ 求められる要素と見極めのポイント
専門・技術職 書類では測れない実践的なスキルや、プロジェクトへの対応力が重要
事務・サポート職 業務の正確性に加え、協調性や人柄といった、長期的な定着につながる要素が重要

紹介予定派遣と他の採用手法との違い

一般派遣との違い

両者は「派遣」という形態をとりますが、その目的が根本的に異なります。一般派遣は、繁忙期や欠員補充など一時的な労働力の確保を目的とします。一方、紹介予定派遣は正社員や契約社員としての直接雇用が最終目的です。

そのため紹介予定派遣では直接雇用を前提とした面接などの選考が可能ですが、一般派遣では派遣スタッフを特定する選考行為は禁止されています。また、紹介予定派遣では採用後の活躍を見据えた業務への参加が期待されるのに対し、一般派遣では契約範囲内の限定的な業務が中心となります。

中途採用(直接雇用)との違い

中途採用と紹介予定派遣の最大の違いは、入社前に「実際の働きぶり」を確認できるかどうかです。

中途採用では書類と数回の面接で採用を判断するため、入社後にスキルやカルチャーフィットの面でミスマッチが発覚するリスクが常に伴います。一方紹介予定派遣では、最長6カ月間の派遣期間を通じて、候補者の実務能力や人柄、組織への適応力をじっくり見極めたうえで採用を決定できます。これにより採用の失敗リスクを大幅に低減し、人材の定着率向上も期待できます。

業務委託との違い

業務委託との最も大きな違いは、「指揮命令権」の有無です。

紹介予定派遣を含む「派遣」では、派遣スタッフは派遣会社(派遣元)と雇用契約を結んでいます。そのため、業務上の指揮命令は派遣先企業が担うという役割分担が制度上明確に定められています。

一方、業務委託は特定の仕事(成果物)の完成を目的とした契約であり、発注者と受託者の間に雇用関係はなく指揮命令権も発生しません。組織の一員として、社内のルールのもとで他の従業員と連携しながら業務を進めてもらう人材を確保したい場合は、紹介予定派遣が適しています。

よくあるトラブルと対応策

紹介予定派遣は便利な制度ですが、運用の仕方によってはトラブルにつながることもあります。代表的なケースとそれを未然に防ぐための対策を理解しておきましょう。

  • 【トラブル1】評価基準が曖昧で、採用の判断ができない

派遣期間が終了する段階になって「期待と違う」と感じても、何がどう違うのかを具体的に指摘できず、採用判断が曖昧になってしまうケースです。これを防ぐには、派遣開始前に職務内容や評価項目を具体的に定めた評価シートを準備し、社内の関係者間で基準を共有しておくことが極めて重要です。

  • 【トラブル2】派遣スタッフの意欲が低く、能力を発揮しきれない

派遣スタッフ側が「自分はあくまで派遣社員だ」と受け身になってしまい、本来のパフォーマンスが発揮されない問題です。対策として、定期的なフィードバック面談を通じて、企業側が直接雇用に前向きであることや、正社員として期待する役割を具体的に伝えることが有効です。当事者意識を促し、モチベーションを高める働きかけが求められます。

  • 【トラブル3】直接雇用時の条件が合わず、最終段階で辞退される

派遣期間が無事に終了し、いざ直接雇用のオファーを出した際に、給与などの条件が折り合わずに辞退されてしまうケースです。これでは、それまでの期間とコストが無駄になってしまいます。対策として派遣期間の中盤から後半にかけて派遣元企業と連携し、直接雇用後の労働条件について事前にすり合わせを行っておくことが重要です。労働者派遣契約のルール上、派遣先企業が派遣スタッフと直接やりとりして雇用条件を提示することはできません。あくまで派遣元を通じての調整が必須であることに留意してください。

成功する紹介予定派遣のポイント

1. 採用要件を事前に徹底して明確化する

紹介予定派遣を成功させる最初のステップは、どのような人材を求めるのか、採用要件を徹底的に明確にすることです。必要なスキル、経験、業務内容はもちろん、チームのカルチャーに合う人物像までを具体化し派遣会社と正確に共有します。採用担当者と配属先の現場責任者が連携して要件定義を行うことで、紹介の精度が格段に向上しミスマッチの根本原因を断つことができます。

2. 計画的な評価とフィードバックの仕組みを構築する

派遣期間を「お試し期間」で終わらせないためには、計画的な評価と育成の視点が不可欠です。誰が、いつ、何を評価するのかを定めた評価制度を構築し、それに基づいた客観的なフィードバックを定期的に行いましょう。良い点も改善点も具体的に伝えることで、派遣スタッフは自身の成長を実感し、企業への信頼を深めます。この地道なコミュニケーションが最終的なエンゲージメントの向上につながります。

3. 直接雇用後の定着・活躍まで見据えて支援する

紹介予定派遣のゴールは採用することではなく、採用した人材が定着し、長期的に活躍することです。直接雇用に切り替わった後も安心して業務に馴染めるようなオンボーディング(受け入れ研修)や、メンター制度、定期的な1on1ミーティングなどを通じて継続的なサポート体制を整えておくことが重要です。採用後も孤立させないための配慮が早期離職のリスクを低減させます。

よくあるトラブル 主な原因 企業が取るべき対策
評価基準が曖昧で採用判断に困る ・判断基準が個人の感覚に依存

・フィードバック不足

・開始前に具体的な評価シートを準備し、関係者で共有する

・定期的なフィードバック面談を実施する

派遣スタッフのモチベーションが上がらない ・「派遣だから」という当事者意識の欠如

・企業側の期待が伝わっていない

・採用を前提とした重要な役割であることを伝える

・将来のキャリアや役割について具体的に話し合う

雇用条件が合わず、最終段階で辞退される ・条件提示が遅れ、双方の認識にギャップが生じる ・派遣元を通じて、早い段階で直接雇用後の条件をすり合わせる

まとめ IT人材をお探しならtypeIT派遣にご相談ください

ここまで紹介予定派遣の仕組みやメリット、成功のポイントを解説してきましたが、制度を最大限に活用するには信頼できるパートナー、すなわち派遣会社の選定が極めて重要です。特に専門性が高いIT・Web業界の人材採用においては、その領域に特化した派遣会社を選ぶことが成功への近道となります。

もしエンジニアやWebデザイナーなどの紹介予定派遣についてお悩みでしたら、IT・Web業界専門のtypeIT派遣にぜひご相談ください。

貴社の具体的な採用課題や求めるスキルを丁寧にヒアリングし、豊富なIT人材の中から最適な方をご提案します。職種やスキルレベルごとの料金相場を熟知したキャリアコーディネーターが、貴社に最適な人材をご提案いたします。

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