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同一賃金同一労働とは?考え方からメリット・デメリットまでわかりやすく解説!

同一賃金同一労働とは?考え方からメリット・デメリットまでわかりやすく解説!

同一賃金同一労働とはどういった考え方なのか


同一賃金同一労働とは、同一企業・団体内での雇用形態の違いによる不合理な待遇差を解消するために導入された政府政策です。つまり、正社員・非正規社員(契約社員・派遣社員・パートなど)に関わらず、“同じ職務内容であれば、同じ額の賃金を従業員に支払う “ という考え方をもとにした制度です。

同一賃金同一労働求められた背景

同一賃金同一労働は、2018年6月29日の働き方改革関連法の成立に伴い、すべての企業に導入されました。少子高齢化が急速に進み、労働力の確保が難しくなっているなかで、非正規社員の割合(※)は年々増加傾向にありました。

そこで政府は、重要な労働力である非正規社員の労働意欲向上、ひいては企業の生産性向上を目指すべく、正社員と非正規社員の不合理な待遇差の解消が必要と判断しました。

※総務省統計局が発行した『労働力調査』によると、2018年の非正規社員の割合は37.8%

同一賃金同一労働の対象者

厚生労働省によると、以下3つの雇用形態で働く労働者を同一賃金同一労働の対象としています。
・契約社員(有期雇用労働者)
・派遣社員
・パート、アルバイト
正社員は同一賃金同一労働の対象外なので、注意が必要です。

罰則について

同一賃金同一労働はガイドラインとして設定されているため、企業が守らなかった場合の罰則は設けられていません。ただし、罰則がないからといって対応を怠ると、従業員の労働意欲やブランドイメージの低下、訴訟などのトラブルに発展する恐れがあります。

実際に、同一の業務内容であるにも関わらず、賃金が異なったことにより裁判となり、企業側に差額の支払いが命じられた事例もあります。

施行時期について

大企業は2020年4月から、中小企業は2021年4月から施行されました。

中小企業とは、以下の①または②いずれかに該当する企業を指します。なお、事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。

業種 ①資本金額 ②常時使用労働者数
小売業 5,000万円以下 50人
サービス業 5,000万円以下 100人
卸売業 1億円以下 100人
その他 3億円以下 300人

同一賃金同一労働のメリット


同一賃金同一労働の導入は、企業の担当者にとっては面倒に感じるかもしれません。しかし、同一賃金同一労働は、労働者側と企業・事業者側の双方にメリットがある制度です。以下で詳細をお伝えします。

労働者側のメリット

同一賃金同一労働により、賃金の上昇や福利厚生などの待遇が改善されます。それにより労働者は、非正規社員という働き方を選びやすくなり、ワークライフバランスの実現もしやすくなります。また、同一賃金同一労働では、教育訓練についても不合理な待遇差を解消することが求められています。正社員との教育制度の格差が縮まることで、非正規社員でも積極的に研修を利用でき、スキルアップやキャリアアップも可能になります。

企業・事業者側のメリット

同一賃金同一労働により納得性の高い待遇が実現されることで、人材が定着しやすくなります。新たな人材を採用するときも、信頼性の高い企業であることをアピールできるので人材の確保がしやすくなります。他にも、従業員のモチベーションを上げることや正社員と同じ資格手当や研修を受けることで従業員のスキル向上も見込めます。このような最終的に業績向上につながるメリットが多くあります。

同一賃金同一労働のデメリット


続いて、同一賃金同一労働のデメリットについて解説します。

労働者側のデメリット

同一賃金同一労働では、職務内容が厳格に規定されることが前提となるので、場合によっては賃金が下がる可能性があります。また、不合理な待遇差をなくすことは企業にとってコストがかかるので、同じ賃金を支払うのであれば正社員を採用したり、そもそもの労働者数を減らすなど、非正規社員の雇用を積極的に行わなくなる可能性もあります。

なお、注意が必要なのが、正社員で働いてる労働者にも同一賃金同一労働がデメリットになり得る点です。非正規社員の待遇を上げて格差をなくすことが本来あるべき同一賃金同一労働の形ですが、企業・事業者がコストを削減するために、正社員の待遇を下げて不合理な待遇差をなくす可能性も否定できません。

企業・事業者側のデメリット

制度の整備・構築に労力がかかることが、同一賃金同一労働を導入する企業・事業主側の最大のデメリットです。不合理な格差をなくすためには、人事制度の見直しが必要不可欠です。また、場合によっては労働者に対して待遇差についての説明が必要なので、書類の準備等にも労力がかかります。さらに、万が一これまで不合理な格差があった場合は、人件費や福利厚生費が上昇する可能性もあります。

同一賃金同一労働に対して企業・事業者が備えるべきこと


同一賃金同一労働の実現にあたり、企業・事業者は以下の流れで社員の待遇を確認し、改善をしましょう。

該当する労働者を確認する

まず、有期雇用労働者やパートタイム労働者など、同一賃金同一労働の対象となる労働者がいるかを確認しましょう。該当の労働者がいない場合は、同一賃金同一労働の導入のための対応は不要です。ただし、いずれ雇用する予定がある場合は、準備を進めておくと良いでしょう。

待遇の差について確認する

同一賃金同一労働の対象者の区分ごとに、賃金や福利厚生などの待遇について、正社員と差があるかを確認します。そもそも差がないのであれば、対応は不要です。

待遇の差に対して合理的な理由を確認する

同一賃金同一労働の対象者と正社員で待遇の差がある場合は、その待遇差について、合理的な理由があるかを確認します。働き方や役割が異なり、その違いに応じて賃金(賞与・諸手当を含む)や福利厚生などの待遇が異なるのであれば、合理的であるといえます。一方で、「将来的な期待値が異なるから」、「パートタイム労働者だから」といった理由は、合理的な待遇差として認められません。

また、企業は待遇の内容や決定方法、正社員との待遇差について、労働者から説明を求められた場合に説明をする義務があります。そのため、待遇差の理由の確認と合わせて、労働者に説明するための資料を用意しておくと良いでしょう。

合理的な理由が説明できない場合は格差を改善する

同一賃金同一労働の対象者と正社員の待遇差について、合理的な理由が説明できない場合は、その格差についての改善策を検討します。不合理な待遇差がある状況からなるべく早く脱却できるよう計画を立て、実行しましょう。また、待遇差が合理的であるといえる場合でも、より多くの労働者に納得感を持って働いてもらえるよう、改善の余地がないかを検討すると良いでしょう。

まとめ


本記事では、同一賃金同一労働の考え方や労働者と企業の双方から見たメリット・デメリット、企業が備えることについて解説しました。

都道府県の労働局には、同一賃金同一労働の不明点について相談できる窓口が設置されていることがが多くあります。実際に正社員との待遇差が気になっている労働者や具体的な待遇差の確認方法が知りたい企業の担当者は問い合わせをしてみると良いでしょう。

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