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マーケティングとは?セールスとの違いや基本用語・プロセスを解説します
目次
- マーケティングとは「売れ続ける仕組みを作ること」
- セールスとの違い
- マーケティングの定義
- 戦略
- 戦術
- マーケティングは時代によって異なる
- マーケティングにおける代表的なフレームワーク
- AIDAの法則
- AIDMAの法則
- マーケティングミックス(4P)
- 3C分析
- 5A
- PEST分析
- SWOT分析
- STP分析
- マーケティングの基本プロセス
- 市場調査
- 戦略設計
- 宣伝活動
- 効果検証
- マーケティング手法の種類
- マスマーケティング
- ダイレクトマーケティング
- インバウンドマーケティング
- デジタルマーケティング
- ゲリラマーケティング
- Webマーケティング
- SNSマーケティング
- CRMマーケティング
- 動画マーケティング
- O2Oマーケティング
- コンテンツマーケティング
- インフルエンサーマーケティング
- マーケティングの成功例
- マクドナルド
- USJ
- 花王
- アサヒビール
- マーケティング職の主な職場
- 自社の商品やサービス扱う事業会社
- 広告代理店
- コンサルティング系企業
- データ・リサーチ系企業
- マーケティングにあるとよい資格
- マーケティング検定
- ネットマーケティング検定
- マーケティング・ビジネス実務検定
- Webアナリスト検定
- データ解析士
- Google Analytics Individual Qualification (GAIQ)
- Google 広告認定資格
- マーケティング職の平均年収
- マーケティング職のキャリアパス
- 職場・企業を変える
- リーダー・ディレクターになる
- 最高マーケティング責任者(CMO)
- マーケティングコンサルタント
- 会社員+副業のWワーク
- フリーランス
- マーケティング職の将来性
- まとめ
マーケティングとは「売れ続ける仕組みを作ること」
マーケティングという言葉を耳にする機会はあっても、具体的に何を指すのか分からない人もいらっしゃるのではないでしょうか?マーケティングとは、企業活動において商品やサービスが自然と売れ続ける仕組みを作ることです。市場調査や商品開発、営業、宣伝、販売などのすべてのプロセスがマーケティングに含まれています。
以前は、営業活動を行い商品やサービスを売り込むのが一般的でした。しかし、モノや情報があふれる現代においては、マーケティングにより、顧客のニーズに合った商品やサービスを適切なターゲットに向けて発信していくことで、顧客が自然に買いたくなる状態を作ることが重要視されています。
本記事では、マーケティングの定義やフレームワーク、具体的な手法などについて詳しく解説します。マーケティングに興味がある人はぜひ読んでみてください。
セールスとの違い
一般的にセールスは「顧客に商品やサービスを購入してもらうための活動」を指します。つまり、セールスは営業や販売員の努力によって売ることを目標とするのに対し、マーケティングは営業や販売員の力に頼らずに自然と売れる状態を作ることを目標としている点に大きな違いがあります。また、マーケティングは、営業や販売員の売り込みではなく、顧客自ら興味を持って購入に至るので、顧客の意思が尊重されやすいことも特徴と言えます。
マーケティングの定義
マーケティングを理解するためには、「戦略」と「戦術」の2つに分けて考えるのがポイントです。一見するとよく似た言葉ですが、意味が異なるため確認しておきましょう。
戦略
マーケティングにおける戦略とは、企業の目標とその目標達成ための方法を考えることです。例えば、「売上○%アップ」や「コスト○%ダウン」といった具体的な数字目標を設定します。そして、その目標を達成するためにはどのような施策が必要か、施策の実行のために必要なコストや人員はどれくらいか、などを考えるのがマーケティングにおける戦略です。
戦術
マーケティングにおける戦術とは、戦略で導き出された目標達成のための具体的な手段のことです。例としては、広告の配信やSNS運用、オウンドメディアの立ち上げ、チラシの配布などが挙げられます。自社の事業内容や目標、戦略を踏まえて、様々な手段のなかから自社にとって最も効果的な手段を取り入れる必要があります。
マーケティングは時代によって異なる
マーケティングの概念や手法は、時代に合わせて変化しています。時代背景や人々の価値観の変化により、商品やサービスの売れる仕組みは変わるため、日々アップデートしていくことが重要です。以下、それぞれの時代のマーケティングが持っていた特徴を説明する用語をご紹介します。
◆マーケティング1.0(1900〜1960年代)
- 製品中心のマーケティング
◆マーケティング2.0(1970〜1980年代)
- 消費者中心のマーケティング
◆マーケティング3.0(1990〜2000年代)
- 製品に対する価値中心のマーケティング
◆マーケティング4.0(2010年代〜)
- 自己実現を中心としたマーケティング
マーケティングにおける代表的なフレームワーク
マーケティングにおいて、よく活用されるフレームワークをご紹介します。フレームワークは、効率よくマーケティング戦略を立案するために役立ちます。
AIDAの法則
AIDAの法則(アイーダの法則)は、消費者が広告を目にしてから購買に至るまでの心理を以下の4つのプロセスごとに説明したマーケティング理論です。
①Attention(注意)
②Interest(興味・関心)
③Desire(欲求)
④Action(行動)
AIDAの法則では、各プロセスごとにマーケティングの目標を設定し、商品・サービスの広告やマーケティング戦略を作成するべきと考えられます。
AIDMAの法則
AIDAの法則の③Desireと④Actionの間に『Memory(記憶)』を追加したものがAIDMAの法則(アイドマの法則)です。消費者の脳裏に商品やサービスを強く印象付け、記憶に残すことが重要と考えられたことから生まれました。AIDAの法則とともに消費者行動モデルの古典的存在とされています。
マーケティングミックス(4P)
マーケティングミックスとは、商品やサービスを市場に届けるために効果的な戦略論です。なかでも代表的なのは、マーケティングを構成する以下4つの構成要素の頭文字をとった「4P」という考え方です。
・Product(製品)
・Price(価格)
・Place(流通)
・Promotion(販売促進)
4Pでは、「どのような商品やサービス(Product)を、いくらで販売(Price)し、どのような販売促進(Promotion)で、どのようにして届ける(Place)のか」という一連の流れを考えます。最も重要なのは、4Pの各要素が互いに矛盾なく整合性を持った状態であることです。4Pの各要素の整合性が取れて初めて、マーケティングを成功させることができます。
3C分析
3C分析とは、以下の3つの視点から現状を分析するフレームワークです。
・Customer(市場・顧客)
・Company(自社)
・Competitor(競合)
マーケティングでは、商品やサービスなどの自社の要因だけでなく、市場・顧客や競合他社の動きなどの外部の要因にも目を向けなくてはいけません。3Cは、市場・顧客のニーズや競合他社の特徴などを分析した上で、自社を選んでもらうためにどのような方法が効果的かについて考えるために役立ちます。
5A
5Aとは、インターネットやSNSの利用が活発化している現代における顧客の購買行動プロセスを体系化するフレームワークです。以下のAから始まる要素が一連のプロセスとして表されています。
①Aware(認知):広告や口コミで知る
②Appeal(訴求):ブランドに惹かれる
③Ask(調査):評判を調べる・比較する
④Act(行動):商品を購入する
⑤Advocate(推奨):レビューや口コミを発信する
商品を買う前に、消費者自ら調査(Ask)をすることや、購入後に感想や情報の発信(Advocate)をする流れが表されていることが特徴です。5Aでは、現代のマーケティングの目標は、顧客を認知から推奨に進ませることであるとしています。
PEST分析
PEST分析(ペスト分析)は、自社でコントロールすることができない外部環境(マクロ環境)の分析を行うフレームワークです。PEST分析では、以下の4つの視点から分析をします。
・Politics(政治)
・Economy(経済)
・Society(社会)
・Technology(技術)
PEST分析を行うと、中長期的に見た市場変化や外部環境が自社にもたらす影響を把握できるため、マーケティング戦略などの事業戦略を立案する際や新たな事業を立ち上げる際に役立ちます。
SWOT分析
SWOT分析(スウォット分析)とは、企業や事業の現状について、以下4つの項目で整理して分析するフレームワークです
・強み(Strengths)
・弱み(Weaknesses)
・機会(Opportunities)
・脅威(Threats)
市場における自社の立ち位置や自社商品の強み・弱みなどを把握する際に効果的です。それぞれ内部環境と外部環境、プラス要因とマイナス要因の両視点から考察していきます。
STP分析
STP分析(エスティーピー分析)は、自社の商品やサービスについて細かく分析し、立ち位置を確認するためのフレームワークです。以下の3つの要素を使い分析を行います。STP分析を活用することで、自社がどの市場でどのような価値を提供していくか明確化することができます。
・Segmentation(セグメンテーション)
・Targeting(ターゲティング)
・Positioning(ポジショニング)
STP分析の流れは、「市場の全体像を把握(Segmentation)し、そのなかから狙う市場を決定(Targeting)し、競合他社との位置関係を決定(ポジショニング)する」になります。
マーケティングの基本プロセス
マーケティング活動には、業種や形態を問わずすべてに共通するプロセスがあります。各プロセスにおいて、必要に応じて先ほどご紹介したフレームワークを活用すると効果的です。以下では、マーケティングを進める上で基本となる流れを解説します。
市場調査
まずはじめに市場調査(マーケティングリサーチ)を行います。商品やサービスのターゲットはどんな人か、ターゲットは何を求めているのか、市場に存在するニーズや消費者の数はどれくらいかなどを徹底的に調査します。ここで重要なのが、企業側の想像や思い込みにならないようにすることです。
調査方法としては、定量調査*1と定性調査*2を組み合わせて実行するケースが多くあります。
※1 商品や企業の認知度や商品の購入率など、最終的な調査結果が”数値”で表される調査
※2 インタビューや行動記録を通してまとめた情報など、個人の気持ちや行動を”言葉”で把握する調査
戦略設計
市場調査により収集したデータや情報をもとに、これから行うマーケティングの戦略設計を行います。マーケティング活動のゴールを明確にした上で、そこに到達するための道筋を立てる作業です。どのような商品・サービスを開発し、どのくらいの価格で、どういった形で顧客へ届けるのかなど、細かい部分まで設計をします。
宣伝活動
戦略設計がまとまったら、商品やサービスを知ってもらうための宣伝活動を行います。人が商品やサービスを購入するまでのプロセスは「認知」から始まります。そのため、購入数を増やすためにはまず、「認知」の数を増やすことが重要です。その時々のトレンドや自社が扱う商品やサービスに合わせて、最適な広告媒体や方法を選びましょう。
効果検証
宣伝活動を行った後は、効果検証をしてPDCAサイクルを回していきます。具体的には、まず一定期間のマーケティング活動の効果を把握します。そして、戦略設計で定めた目標に対して効果が出ているのであればなぜ効果が出たのか、効果が出ていないのであればなぜ出ていないのか、どのフェーズに問題があるのかなどを検証します。
この検証結果を踏まえて、適宜見直しをするまでが一連の流れです。
マーケティング手法の種類
続いては、マーケティングの代表的な手法をご紹介します。古典的なものから最新のものまで幅広い手法があるので、自社の目標達成のために最適な手法を選択することが大切です。
マスマーケティング
マスマーケティングとは、顧客を絞り込まずに不特定多数の人に向けて行うマーケティング手法です。主に、テレビやラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアを活用して商品やサービスの告知を行い、販売に繋げます。幅広い顧客層に訴求できるため、企業や商品・サービスの認知度アップに効果的です。
ただし、マスマーケティングはコストが高いので、広告に多額の費用を投資できる大手企業でないと取り入れることが難しいとされています。
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングは、企業が顧客に直接コミュニケーションをとるマーケティング手法です。テレアポやダイレクトメール、インターネット広告などを通して、企業が顧客と双方向のやり取りをしながら、商品やサービスの販売に繋げていきます。
マスマーケティングと比較すると少額の費用から始めることができ、効果測定と改善のPDCAを回しやすいことから、中小企業でも取り入れやすい手法です。
インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングは、顧客にとって価値のある情報を発信することで顧客に自社を見つけてもらい、購買意欲を育成していくマーケティング手法です。そのため、企業側からの派手な宣伝や売り込みは行いません。具体的には、SEO対策(WebサイトのコンテンツをGoogleやYahoo!の検索結果の上位に表示させる施策)などが挙げられます。
インバウンドマーケティングでは、顧客との双方向のコミュニケーションが可能であり、費用対効果が高いのが特徴です。
デジタルマーケティング
デジタルマーケティングとは、インターネットやAI技術などのデジタルテクノロジーやデジタル化された情報(データ)を活用するマーケティング手法です。ここでのデジタル化された情報とは、消費者のWeb上の行動履歴や位置情報データなどに加えて、実店舗のPOSデータなどのリアルな活動データも含まれます。
蓄積したデータの分析や検証をすることで、課題の見直しやタイミングよく顧客にアプローチすることに役立たせることができます。
ゲリラマーケティング
ゲリラマーケティングとは、商品やサービスに関するインパクトを与えることで販売に繋げるマーケティング手法です。これまでの広告の常識にとらわれない斬新な発想とアイデアで、顧客に強い印象を残すことが求められます。例としては、ラッピングバスやプロジェクションマッピング広告、フラッシュモブなどです。ゲリラマーケティングは、低コストで高い効果が見込めることから、企業の規模を問わず注目されています。
しかし、自由度が高いが故にリスクも多いので慎重な判断が必要です。
Webマーケティング
Webマーケティングは、Webサイトへの集客を促し、商品やサービスのブランディングや購入に繋げるマーケティング手法です。先述したデジタルマーケティングの一部で、SEO対策や各種広告への出稿といった施策を行い、Webサイトに訪れたユーザーの行動履歴の分析を行います。
あらゆる情報をインターネットから収集する現代において、企業にとってWebマーケティングの活用は必要不可欠です。
SNSマーケティング
SNSマーケティングは、FacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャル・ネットワーク・メディア(SNS)を使用したマーケティング手法です。企業が顧客にダイレクトメッセージを送ることもできるなど、企業と顧客が直接繋がり合うのが特徴です。SNSマーケティングを取り入れることにより、企業や商品・サービスの認知拡大、認知顧客への情報提供、顧客のロイヤリティ向上などが見込めます。
SNSの利用者数と使用時間は年々増加しているため、今後は活用必須のマーケティング手法と言えるでしょう。
CRMマーケティング
CRMは、Customer Relationship Managemntの頭文字を取ったもので、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。そして、CRMマーケティングとは、顧客の情報を蓄積・管理し、それぞれの顧客に合った施策を打つことで、自社の商品やサービスの顧客満足度を上げる手法のことを言います。
顧客の価値観の多様化にあたり、顧客と一対一の関係を築くことが顧客生涯価値(顧客が自社と取引を開始してから終わるまでの利益の総額)の最大化に繋がるとされ、CRMマーケティングが重要視されています。
動画マーケティング
動画マーケティングとは、Web上で動画を使ってプロモーションをするマーケティング手法です。YouTubeやTikTokなどの動画コンテンツのニーズの高まり伴い、多くの企業で取り入れられるようになりました。顧客にとって有益な情報を視覚や聴覚に訴えるので訴求力が高いのが特徴です。
一方で、動画制作にあたり時間・人員・コストといったリソースがかかるという側面もあります。
O2Oマーケティング
O2Oは、Online to Offlineの略で、企業がインターネット上(オンライン)で情報を発信し、実店舗(オフライン)での購買行動に繋げる手法です。例えば、実店舗を持つアパレルブランドが、SNSで商品について発信し、実店舗で使えるクーポン券を発行することで、顧客に実店舗への来店を促し、購入してもらうという一連の流れです。
新規顧客の獲得はもちろん、顧客のロイヤリティ向上にも効果的です。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって有益なコンテンツ(情報)を提供し、そのコンテンツを通じて信頼関係を結び、自社の商品やサービスを知ってもらうという一連のマーケティング手法です。コンテンツの内容は、ブログ記事や動画、オフラインのセミナーなど多岐にわたります。
コンテンツマーケティングは、あくまでも顧客の育成が目的なので、企業から発信したい情報を提供するのではなく、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供することが重要です。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーとは、スポーツ選手やファッションモデル、YouTuber、インスタグラマーなど、人の思考や行動に大きな影響を持つ人のことを指します。SNSで多くのフォロワーがいるインフルエンサーに自社の商品やサービスの情報を発信してもらい、フォロワーの購買意欲を掻き立てたり、認知拡大を狙うのがインフルエンサーマーケティングです。
インフルエンサーの発信した情報は拡散されやすいことや信頼されやすいことから、近年注目を集めているマーケティング手法です。
マーケティングの成功例
誰もが知る大手企業が実践したマーケティングの成功例についてご紹介します。
マクドナルド
日本マクドナルドホールディングス(以下マクドナルド)は、期限切れ鶏肉の使用問題や異物混入事件が原因となり、2015年に347億円の赤字となりました。しかし、マクドナルドは2015年を底としV字回復を見せています。
このとき取り入れたのが、WebサイトやSNSを活用したインバウンドマーケティングです。例えば、商品パッケージを写真に撮ってSNSに載せたくなるようなデザインへに変更をしました。また、商品名にはネットニュースの記事タイトルに収まるように短くキャッチーな呼び名を付けました。他にもSNSでバズることを重視したマーケティング施策を行い、売上を伸ばし、業績の立て直しを図りました。
USJ
USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)は、2001年に開業したテーマパークです。初年度こそ好調だったものの、開業3年目の2004年には経営破綻寸前にまで追い込まれます。しかし、2010年にマーケターの森岡毅氏がUSJに入社し、「消費者視点の会社」に変えたことでV字回復を実現させます。
開業当初のUSJは、テーマが映画である上に、多くのアトラクションで身長制限が設けられており、楽しめる客層が大人に偏っていました。この状況を見た森岡氏は、親子で楽しめる新エリア「ユニバーサル・ワンダーランド」をオープンしました。「映画好きの大人が楽しめるテーマパーク」というコンセプトを見直し、「誰もが楽しめるエンターテイメントのセレクトショップ」に変貌させたのです。これこそが、売り手視点から消費者視点への転換と言えます。
他にもテレビCMの質の向上やチケット価格の値上げをすることで、日本を代表するテーマパークになりました。
花王
花王株式会社が2003年に発売した「ヘルシア緑茶」もマーケティング戦略で成功した事例です。「健康に気を使い始めた忙しいビジネスマン」にターゲットを絞り戦略を立てることで、通常の緑茶と比べて価格が高いにもかかわらず発売以降売上を伸ばしました。
ヘルシア緑茶の事例は『マーケティングにおける代表的なフレームワーク』の項目でご紹介したマーケティングミックス(4P)で捉えることができます。
◆Product(製品)
– 特定保険用食品(トクホ)の認可を得た「体脂肪を燃焼させるお茶」
◆Price(価格)
– 通常の緑茶より高く設定し効果を演出
◆Place(流通)
– コンビニエンスストア専用商品(スーパーには置かない)
◆Promotion(販売促進)
– マスメディア広告で認知度アップ&コンビニのレジ横に陳列
アサヒビール
アサヒビール株式会社は、1958年に日本初の缶ビールを発売するなど日本のビールの先駆者とも言える存在でした。しかし、少しずつシェアを落とし続け、1980年代に9.6%という大手4社のなかで最低のシェアを記録しました。
当時の社長であった村井勉氏は、この状況を打開すべく、新しいCI(コーポレート・アイデンティティ)※1を設定します。そして、これまでのプロダクトアウト※2の方針を転換し、消費者のニーズに正面から応えた最高の味を提供するために、徹底的に消費者調査を行いました。その結果、1987年に「アサヒスーパードライ」が生まれ、ビール業界に革命を起こす大ヒットになりました。アサヒビールは、消費者の本質を捉えることで、急速にシェアを上げ業界首位に躍り出たのです。
※1 企業の特性を、統一したビジュアルやメッセージで社会に印象付けること。
※2 商品開発や販売を行う上で、消費者のニーズよりも企業側の理論を優先させること。
マーケティング職の主な職場
以下では、マーケティング職がどのような職場で働くのかを解説します。企業によってもマーケティングの範囲や捉え方が異なるので一概には言えませんが、職場により仕事内容や働き方には特徴があります。
自社の商品やサービス扱う事業会社
メーカーなどのマーケティング部に所属し、マーケティングを活用して自社の商品やサービスを販売する仕事です。マーケティングには、商品・サービス以外にも消費者、市場などの知識と理解が必要不可欠です。そのため、事業会社のマーケティング職は、特定分野の知識を活かして継続的にマーケティング活動をしたい人に向いているでしょう。
広告代理店
広告代理店は、クライアントのマーケティングを代理で請け負う企業のことです。インターネット広告の運用や市場・顧客の分析などを行い、クライアントの商品やサービスを売る仕組みを構築することが求められます。並行して複数のクライアントを担当するケースがほとんどなので、幅広い業界や市場に関わることができます。
コンサルティング系企業
コンサルティング系企業は、クライアントの利益を最大化するための手段をあらゆる角度からアドバイスする企業です。コンサルティング系企業において、マーケティングはあくまでも利益を最大化するための手段の一つです。そのため、商品開発や売り方の検討以外にも、そもそもその商品・サービスを売る必要があるのか、何のために売るのかといった部分まで踏み込むことが求められます。
データ・リサーチ系企業
データ・リサーチ系企業は、商品やサービスに対する消費者の反応、市場の動向などを様々な手法を用いて調査・分析を行います。そこで得られた情報をクライアントに提供し、マーケティング戦略に活用します。消費者ニーズや市場の動向を正しく把握することは、マーケティング戦略において重要性が高いため、データ・リサーチを専門とする会社も多く存在します。
マーケティングにあるとよい資格
マーケティングの仕事をするあたり、資格の取得は必須ではありません。ただし、資格は一定の知識やスキルを持った証明であり、業務に役立つ場面も多くあります。また、資格取得の勉強を通して、マーケティングの知識を体系的に身に付けることができるので、未経験からマーケティングに携わる人やより深い知識を身に付けたい人は、挑戦してみると良いでしょう。以下で、マーケティングの仕事をするにあたりおすすめの資格をご紹介します。
マーケティング検定
マーケティング検定は、公益社団法人日本マーケティング協会が主催する検定で、マーケティングの基本概念やマーケティング戦略、消費者行動など幅広い領域の考え方を習得することを目的としています。1~3級の試験があり、一番レベルの低い3級は誰でも受験ができます。
マーケティングの考え方はビジネスの基礎でもあるので、マーケティングに興味のあるビジネスマンが最初に受験するのにおすすめです。
ネットマーケティング検定
ネットマーケティング検定は、インターネットマーケティングに必要とされる知識を網羅的に習得していることを証明する検定です。インターネットを活用した新規顧客の獲得や認知拡大、顧客満足度の向上など、マーケティングの核心的な内容を学ぶことができます。
「ビジネスの企画・立案に活かせるマーケティングサイドの検定」と位置付けられており、販売戦略に携わる人を幅広く対象としています。
マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定は、マーケティング実務の知識を総合的に判定するための検定です。マーケティングの基礎知識やマーケティング戦略などに加えて、実務レベルのマーケティング事例の知識も出題されるのが特徴です。難易度が高い順にA~C級までの3種類に分かれているので、難易度に応じて基礎から応用までの知識を証明することができます。
Webアナリスト検定
Webアナリスト検定では、Google アナリティクスなどの分析ツールを用いたアクセス解析や市場動向・トレンドなどのマーケティング情報の分析、具体的な改善案の提案などに必要な知識・スキルを証明することができます。Webマーケティングの専門用語の意味など、基本的な内容が多いため、アクセス解析を基礎から身に付けたい人におすすめの資格です。
データ解析士
データ解析士とは、マーケティングリサーチに必要なデータを解析できる知識を持つことを証明する資格です。受験資格を得るためには、文部科学省認定の講座である「多変量解析実務講座」を修了しなくてはいけません。
データサイエンス系の資格のなかでは難易度が高くなく、データ解析士の勉強を通して、未経験から統計学やデータサイエンスに関する知識・スキルを身に付けることができます。
Google Analytics Individual Qualification (GAIQ)
Googleが公式に認定する資格で、日本語では「Google アナリティクス個人認定資格」と呼ばれます。Google アナリティクスの設定や機能、レポート分析に関する知識・スキルを証明することができます。
特定のツールに関する資格であるものの、GoogleアナリティクスはWebマーケティングにおいて最も頻繁に使われる分析ツールのため、実務で役立つことも多いです。無料で何度でも受験できるので、Googleアナリティクスを使っている人や使う可能性がある人は受験してみると良いでしょう。
Google 広告認定資格
Google 広告認定資格とは、Google広告に関する知識を有していることをGoogleが公式に認定する資格です。この資格を取得することで、Googleに認められたオンライン広告のエキスパートであることを証明できます。検索広告やディスプレイ広告、動画広告など、11科目に分かれていて、それぞれ別の試験となっています。日本国内の検索エンジンシェアの75%以上をGoogle検索が占めることから、Google広告を活用している企業は非常に多く、実用性も高いと言えます。
Google アナリティクス個人認定資格と同様に、無料で何度でも受験ができます。
マーケティング職の平均年収
マーケティング職の平均年収は500~700万円程度と言われていて、日本の平均年収と比較すると高い傾向にあります。ただし、マーケティング職は企業の規模や扱う商材による給与の差が大きく、年収1000万円以上を稼ぐ人も珍しくありません。また、マーケティング職は実力主義です。能力があれば20代や30代でも高い年収を得られる可能性のある仕事です。
マーケティング職のキャリアパス
マーケティング職の経験や実績を積めば、様々なキャリアパスが見えてきます。以下では、マーケティング職の主なキャリアパスをご紹介します。
職場・企業を変える
マーケティングの範囲や捉え方は明確に定義されているものではないので、マーケティング職といっても職場や企業により仕事内容が大きく異なります。そのため、様々な職場・企業で働くことで幅広い業務を経験し、着実にスキルアップをしていくことができます。また、これまでの実績や能力が十分にある人であれば、転職により年収アップをできる可能性も高いと言えます。
リーダー・ディレクターになる
自社内で経験を積み、プロジェクトのリーダーやディレクターになる選択肢です。未経験からマーケティング職に就いた場合、初めのうちは任せてもらえる仕事は限られていますが、経験を積み実績を残すことができれば、数年でリーダーやディレクターの役割を担うようになるケースも多くあります。
最高マーケティング責任者(CMO)
経営においてマーケティングを重要視している企業では、最高マーケティング責任者(CMO:Chief Marketing Officer)と呼ばれるマーケティング職における役員職を置いています。CMOは企業経営と併せてマーケティングに関する業務を統括する役割です。マーケティング職としてキャリアを突き詰めるのであれば、CMOを目指すのも良いでしょう。
マーケティングコンサルタント
マーケティングの知識や経験を活かして、マーケティングコンサルタントにキャリアチェンジする人もいます。マーケティングコンサルタントとは、クライアントが抱えるマーケティングの課題を洗い出し、アドバイスや提案、運用の支援をする仕事です。マーケティング職で培った幅広い知識やスキルは、クライアントの課題に対して的確な改善策を提案するために活用できます。
会社員+副業のWワーク
マーケティングはPCさえあれば仕事ができるので、副業と相性の良い仕事です。副業でマーケティングをすれば、会社員として安定的な収入を維持しながら年収をアップすることができます。一方で、仕事をする時間が長くなる上に、クライアントとの打ち合わせなどが発生する可能性もあり、スケジュールや自己管理が難しいというデメリットもあります。
フリーランス
マーケティングの経験や実績を積んだら、企業に属さずフリーランスとして働く選択肢もあります。フリーランスとして安定的な収入を得ることは容易ではありませんが、働く時間や場所に縛られないため、ライフワークバランスを重視したい人におすすめの働き方です。また、自分のスキルと仕事量が年収に直結するため、会社員よりも高い年収を稼げる可能性もあります。
マーケティング職の将来性
企業は今後も商品やサービスを売ることで利益を生み出します。そして、「商品やサービスが売れる仕組み」を作るのがマーケティングであるため、マーケティング職のニーズはなくならないことが予想されます。仮に、市場調査はAI(人工知能)や機械学習によるが代替ができたとしても、「考えること」は人にしかできません。
また、マーケティングの仕事は経営陣に近い視点も養われるので、マーケティングの経験や能力を持った人は、いつの時代・どこの企業でも求められる人材であると言えるでしょう。
まとめ
マーケティングは、企業の売上拡大やブランドの認知度向上のカギを握る責任の大きい仕事です。また、変化する世の中で売れる仕組みを作るには、トレンドをキャッチアップしながら常に勉強をする姿勢が求められるので、大変な部分もあります。一方で、自らが考え実行した戦略や施策が、消費者の行動や市場の評価として数字に現れた際のやりがいはとても大きいものです。
未経験からマーケティングの仕事をするのは簡単ではありませんが、知識やスキルを身に付けることで市場価値の高い人材になることもできるので、マーケティングに興味がある人は挑戦してみていかがでしょうか?
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