Column
転職に役立つ情報
エンジニアの残業が多い原因と転職前に知る対策方法!

目次
エンジニアの残業が多い原因と転職前に知る対策方法!
現在の職場での長時間労働に疲れて、エンジニアへの転職を考えている方も多いのではないでしょうか?「エンジニアは残業が多いと聞くけど、実際どうなのか」「自分に合った働き方ができる企業は見つかるだろうか」といった不安を抱えている方も少なくないはずです。
IT業界は高い給与やスキルを活かせる魅力的な選択肢ではありますが、エンジニアの残業の実態については気になるところです。
実は、エンジニアの残業時間は企業によって大きく異なります。残業の少ない企業を見つけるためには、IT業界全体の実態を理解し、企業ごとの労働環境をしっかりと比較検討することが大切です。
この記事では、エンジニアの残業の実態と原因、企業タイプ別の特徴、そして残業を減らすための具体的な対策までを詳しく解説していきます。エンジニアとしてのキャリアを充実させながら、ワークライフバランスの取れた働き方を実現するためのポイントをお伝えしていきましょう。
エンジニアの残業の実態と原因
エンジニアの残業は業界全体の課題として認識されており、特にIT企業では深刻な問題となっています。実態としては企業規模や業態によって大きな差があり、月間の残業時間が80時間を超える会社がある一方で、残業ゼロを実現している会社も存在します。
この残業時間の格差が生まれる背景には、慢性的な人材不足や突発的なトラブル対応、多重下請け構造といった複数の要因が絡み合っています。これらの問題を理解することで、自分に合った企業選びや働き方の改善につなげられるでしょう。
エンジニアの平均残業時間
■ITエンジニア全体: 平均残業時間は約23.2時間と報告されています。これは他の職業と比較して多い傾向があります。
■システムエンジニア: 平均残業時間は14時間程度とされていますが、企業やプロジェクトによって大きく異なる可能性があります。
■アンケート調査結果: 550人のエンジニアを対象とした調査では、「10~30時間」の残業が最も多く、次いで「30~40時間未満」が続いています。
エンジニアの残業時間は職種や企業によって異なるものの、一般的には月20~30時間程度が多いことがわかります。また、IT業界全体で人材不足やプロジェクト特性による残業が多いことも指摘されています。
出典:
ITエンジニアの残業って多いの?残業が多い理由や減らすコツも解説
T業界の「残業」の実態を徹底解説!長時間労働の現状を知ることで転職活動を優位に進めましょう
エンジニアは残業ばかり?550人へのアンケートから分かる残業事情
IT業界で残業が発生する3つの要因
IT業界の残業が発生する主な要因は、人材不足、突発的な対応、多重下請け構造の3つに集約されます。これらの要因が複雑に絡み合って、長時間労働を生み出しているのが現状です。
エンジニアとして働く際は、これらの要因を理解したうえで、自分に合った企業や働き方を選択することが大切です。特に、人材育成に力を入れている企業や、無理のないプロジェクト管理を心がけている企業を選ぶことで、過度な残業を避けることができるでしょう。
人材不足による業務過多
IT業界における人材不足は、エンジニアの残業問題の最も根本的な原因となっています。技術の進歩が急速な一方で、スキルを持った人材の育成が追いついていないため、多くの現場で業務過多の状態が続いています。
経済産業省の調査によると、2030年にはIT人材が約45万人不足すると予測されています。この深刻な人材不足により、現場のエンジニアが抱える業務量は年々増加傾向にあるといえるでしょう。
具体的な影響として、一人のエンジニアが以下のような状況に直面しています。
- 複数のプロジェクトを同時に担当せざるを得ない
- 本来の専門分野以外の業務まで対応する必要がある
- 新人教育の時間が十分に確保できない
特に中小規模のIT企業では、慢性的な人手不足により、エンジニア一人あたりの負担が著しく大きくなっています。新規案件を受注しても、それを担当できる人材が不足しているため、既存のメンバーに仕事が集中してしまうのです。
また、人材不足は単純な量の問題だけではありません。技術の専門性が高まる中で、特定の分野に精通したエンジニアの不足も深刻な問題となっています。例えば、AIやクラウドなどの先端技術に関する案件では、適切なスキルを持った人材を確保できないため、限られたエンジニアに過度な負担がかかることも。
突発的な仕様変更とトラブル対応
エンジニアの残業が発生する大きな要因の一つが、突発的な仕様変更とトラブル対応です。計画的な業務進行を妨げるこれらの予期せぬ事態は、残業時間を増加させる主な原因となっています。
特に開発後期になって発生する仕様変更は、エンジニアにとって大きな負担となるでしょう。すでに実装が完了した機能の修正が必要になったり、新たな機能追加が求められたりすることで、予定していた作業時間を大幅に超過してしまうことも。
このような突発的な対応が必要となる具体的なケースには以下のようなものがあります。
- 顧客からの急な仕様変更要望
- 本番環境でのシステム障害
- セキュリティ上の脆弱性への緊急対応
特に本番環境でのシステム障害は、ユーザーへの影響が大きいため、即座の対応が求められます。原因究明から修正対応まで、深夜に及ぶ作業となることも少なくありません。
このような状況に対して、要件定義の段階で顧客との認識合わせを丁寧に行うなど、事前の対策を講じてリスクを最小限に抑えることが重要です。
多重下請け構造による納期のプレッシャー
IT業界の多重下請け構造により、エンジニアは厳しい納期のプレッシャーにさらされています。最終的な納期は一定なのに、元請けから下請けへと仕事が流れる過程で、実際の作業時間が圧縮されていくのです。
この構造的な問題の影響は深刻です。下請けの立場になるほど単価が下がり、より短い期間での作業を余儀なくされます。例えば、6か月のプロジェクトでも、三次請け会社には3か月という短い期間しか与えられないことも。その結果、エンジニアが残業をせざるを得ない状況になってしまいます。
このような状況では、以下のような問題が発生しやすくなります。
- 品質管理のための十分な時間が確保できない
- テスト工程が圧縮される
- ドキュメント作成が後回しになる
特に下流工程を担当する企業のエンジニアほど、しわ寄せを受けやすい状況に置かれています。上流から届く仕様変更や追加要望に対して、限られた時間で対応しなければならないためです。
元請け企業と下請け企業の間で適切なコミュニケーションを取り、プロジェクトの初期段階から、現実的な工数見積や進捗管理を行うことが大切です。
企業タイプ別の残業傾向
エンジニアの働き方は、企業の業態や規模によって大きく異なってきます。自社開発企業では裁量労働制を導入している会社も多く比較的残業は少なめですが、受託開発やSES企業では納期や顧客都合による残業が発生しやすい傾向にあります。
しかし同じ業態でも、残業時間には企業ごとに大きな差があるのが現状です。働き方改革に積極的な企業では、残業時間の上限を設定したり、プロジェクト管理を徹底したりすることで、エンジニアの長時間労働を防ぐ取り組みを進めています。企業選びの際は、このような労働環境の違いをしっかりと見極めることが大切でしょう。
自社開発・受託開発・SES企業の残業の特徴
それぞれの企業タイプごとの残業の特徴は以下の通りです。
企業タイプ | 残業の特徴 | 主な要因 |
---|---|---|
自社開発 | 比較的少なめ | 裁量労働制が多く、柔軟な働き方が可能 |
受託開発 | やや多め | 納期と仕様変更への対応が必要 |
SES | 多い傾向 | 客先常駐による影響を受けやすい |
自社開発企業では、自社製品やサービスの開発に注力するため、比較的計画的な工程管理が可能となっています。また、多くの企業で裁量労働制を採用しているため、個人のペースで仕事を進められる環境が整っているのが特徴です。
一方、受託開発企業では、クライアントからの要望に応じて開発を行うため、突発的な仕様変更や納期調整による残業が発生しやすい傾向にあります。特に大規模プロジェクトでは、予期せぬトラブルへの対応で残業が増えることも珍しくありません。
SES企業の場合は、客先に常駐して開発を行うため、派遣先の企業文化や働き方の影響を強く受けることになります。一般的に、他の形態と比べて残業が多くなりやすいと言えるでしょう。
ただし、同じ業態でも会社によって残業時間には大きな差がありますエンジニアとして働く場所を選ぶ際は、企業の事業形態だけでなく、実際の労働環境や働き方改革への取り組み姿勢までしっかりとチェックすることがおすすめです。
また、入社後も自身の希望する働き方を実現できるよう、面接時に残業の実態や時間外労働に対する会社の方針について、具体的に確認しておくと良いでしょう。
これらの特徴を踏まえたうえで、自分のライフスタイルや価値観に合った企業を選ぶことが、エンジニアとして充実したキャリアを築くポイントとなります。
ホワイト企業の見分け方と選び方
ホワイト企業とは、労働環境が良好で、従業員の働きやすさや福利厚生が整っている企業のこと。ホワイト企業は、適切な人員配置と業務管理が整っており、無理のないスケジュールで一人に過度な負担をかけないようにしています。
そのため、採用情報だけでなく実際の労働環境をしっかりと確認して、ホワイト企業かどうかを見極めることも残業時間を抑えるコツといえます。
企業選びで特に注目したいのは、以下のような項目です。
- 従業員の平均残業時間と残業代の支払い実態
- 残業削減に向けた取り組みの有無(ノー残業デーの設定・残業時の承認有無など)
- 有給休暇の取得率と取得しやすい雰囲気
- 育児・介護との両立支援制度の充実度
実際の労働環境を知るためには、面接時に質問するのが一般的です。
さらにリアルな情報を知るには、口コミサイトやSNSでの評判も参考になります。ただし、極端な評価は避け、複数の情報源から総合的に判断することが大切です。
また、転職エージェントを活用する場合は、転職エージェントの持つ企業情報も有効活用しましょう。求人票には載っていない職場の実態や、過去の採用実績などの情報が得られるかもしれません。
このように多角的な視点で企業を見極めることで、自分らしく働ける環境に出会えるはずです。焦らず慎重に企業選びを進めていきましょう。
残業の少ない企業の共通点
残業の少ない企業には、いくつかの共通する特徴があります。具体的に見ていくと、働きやすい環境づくりのために取り組んでいるポイントが見えてきます。
まず、残業の少ない企業の最大の特徴は、適切な人員配置とプロジェクト管理を徹底していることです。一人のエンジニアに過度な負担がかからないよう、業務量を適切に分散させ、無理のないスケジュールを組んでいます。
その理由として、経営層が従業員の働き方に関心を持ち、具体的な施策を実行していることが挙げられます。例えば、残業時間の可視化や上限設定、業務効率化のためのツール導入など、組織全体で働き方改革に取り組む姿勢が見られます。
具体的な共通点として、以下のような特徴があります。
- フレックスタイム制やリモートワークなど柔軟な勤務制度の導入
- プロジェクトの進捗管理と定期的な工数の見直し
- 社内コミュニケーションの活性化による情報共有の円滑化
- 技術研修や勉強会による効率的なスキルアップ支援
また、残業の少ない企業では社員の声を積極的に聞き、業務改善に活かす文化が根付いている傾向にあります。
上司と部下のコミュニケーションが活発で、問題が発生した際も早期に対応できる体制が整っているといえるでしょう。
エンジニアの残業を減らすための対策
エンジニアの残業問題を改善するためには、個人と企業の両方からアプローチすることが大切です。
個人でできる残業削減の取り組み
エンジニアの残業を個人レベルで削減するためには、まず業務の効率化と時間管理が重要です。具体的な取り組みを通じて、残業時間を着実に減らすことができます。
まず、タスク管理ツールの活用をおすすめします。ToDoリストやタイムトラッキングアプリを使うことで、どの業務にどれだけ時間がかかっているか把握でき、効率的に作業を進められます。
開発効率を高めるためには、以下の取り組みが有効です。
- コーディング規約の徹底と再利用可能なコードの作成
- 自動テストツールの導入による品質管理の効率化
- コミュニケーションツールを活用した素早い情報共有
技術的なスキルアップは、作業効率を向上させ、作業時間を短縮するために重要です。新しい開発手法やツールを学ぶことで、より効率的に業務を進めることができます。
また、集中力を維持するためにポモドーロテクニックや軽い運動を取り入れると、長時間の作業でも生産性を保つことができます。
さらに、毎日の終業時に翌日の計画を立て、優先順位をつけて時間配分を考えることで、限られた時間内で効率よく業務を進められます。
これらの取り組みを継続的に実践することで、徐々に残業時間を削減できるはずです。ただし、急激な改善は逆効果になる可能性もあるので、無理のないペースで進めていくことをおすすめします。
職場環境を改善するための具体的なアプローチ
職場環境の改善は、エンジニアの残業時間削減に大きな効果をもたらします。まずは現状の問題点を具体的に洗い出し、チーム全体で改善に取り組む姿勢が重要です。
上司への相談と業務改善の提案方法
上司への相談と業務改善の提案は、残業削減を実現するための重要なステップです。適切なコミュニケーションと具体的な改善案の提示により、職場環境の改善につながっていきます。
まず、上司への相談はタイミングと準備が重要です。単なる不満や愚痴にならないよう、現状の課題と具体的な改善案をセットで提示できるように準備しましょう。
具体的な準備として、自分の業務内容や残業時間を詳細に記録し、どの作業にどれくらいの時間がかかっているのかを可視化することがポイントです。これにより、残業の原因を客観的に示すことができます。
上司との面談では、以下のような流れで話を進めると効果的です。
- 現状の課題と影響を具体的なデータで説明
- 改善案と期待される効果の提示
- 実現に向けた具体的なステップの提案
改善提案は建設的な内容にすることが大切です。たとえば「タスク管理ツールの導入で、作業の進捗状況が共有しやすくなり、チーム全体の効率が上がる」といった具体的なメリットを示しましょう。
また、提案は一度に多くの項目を出すのではなく、優先順位をつけて段階的に進めることをおすすめします。小さな改善から始めて、成果を見せながら徐々に範囲を広げていくアプローチが効果的です。
相談の際は、チーム全体の生産性向上という視点を忘れないようにしましょう。個人の都合だけでなく、会社やプロジェクトにとってのメリットも併せて説明できると、提案が受け入れられやすくなります。
さらに、自分自身でできる改善活動も並行して進めていくことが重要です。上司への相談と同時に、業務の効率化や時間管理の工夫など、自己改善にも取り組む姿勢を見せることで、提案の説得力が増すでしょう。
労働基準法に基づいた適切な対処法
労働基準法に基づいた対応は、エンジニアの権利を守り、適切な労働環境を実現するための重要な手段です。
法律では、時間外労働の上限は原則として月45時間、年間360時間と定められています。これを超える残業が常態化している場合は、会社に対して法令遵守を求める必要があるでしょう。
具体的な対応方法として、まずは労働時間の正確な記録をつけることが大切です。勤怠管理システムの記録だけでなく、自身で業務開始・終了時刻を記録しておくと、後々の証拠として役立ちます。
残業代の未払いがある場合は、会社に対して支払いを請求する権利があります。この請求権は2年間有効なので、過去の未払い分についても請求することが可能です。
また、36協定で定められた上限時間を超える残業を命じられた場合は、これを拒否することができます。ただし、一方的な拒否は避け、上司や人事部門との話し合いを通じて、建設的な解決を目指すことをおすすめします。
健康面で不安がある場合は、会社の産業医に相談することも有効です。月80時間を超える残業が発生した場合は、法律で医師による面接指導が義務付けられています。
もし社内での解決が難しい場合は、労働基準監督署や労働組合に相談するという選択肢もあります。ただし、その前に必ず社内での対話を十分に行い、円満な解決を目指すことが望ましいでしょう。
まとめ
エンジニアの残業問題は、業界全体で見られる課題ですが、適切な対策と企業選びによって改善することができます。
IT業界の残業は、人材不足や突発的なトラブル対応、多重下請け構造など、構造的な要因から生じています。しかし、企業によって残業時間には大きな差があり、自社開発企業やホワイト企業と呼ばれる会社では、残業時間が比較的少なく抑えられているようです。
これから転職を考えている方は、企業の残業時間や労働環境をしっかりとチェックしてみましょう。実際の労働時間や残業削減の取り組みについて質問したり、口コミサイト参考にしてみるのも良いでしょう。
残業が多くて悩んでいるけどまだ転職をしたくない方は、この記事で紹介した残業削減のテクニックを、ぜひ試してみてください。職場環境の改善には時間がかかるかもしれませんが、一歩ずつ取り組むことで、よりよい働き方が実現できるはずです。
エンジニアのキャリアを充実させながら、プライベートも大切にできる働き方を見つけていきましょう。
注目の求人特集