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廃止された特定派遣とは?廃止された理由や一般派遣との違いを解説!

廃止された特定派遣とは?廃止された理由や一般派遣との違いを解説!

日本の労働市場において、かつて存在していた「特定派遣」という雇用形態が、2015年に廃止が決定され、2018年には完全に廃止されたことをご存知でしょうか?

特定派遣は、一見すると正社員としての雇用を保障するものでしたが、実際には労働者にとって多くの問題点が指摘されていました。

本記事では、特定派遣がどのような仕組みであったのか、一般派遣との違いや、廃止に至った理由を詳しく解説します。さらに、特定派遣の廃止がもたらした労働市場への影響についても掘り下げていきましょう。

特定派遣とは

特定派遣とは
特定派遣とは、派遣元企業が常時雇用契約を結んでいる社員を、他の企業(派遣先)に派遣する形態のことを指します。常時雇用契約は、派遣元企業が労働者と直接的な雇用契約を結ぶため、給与の支払いも派遣元が行うのが特徴です。また、労働者は派遣先企業で働きますが、雇用関係は派遣元企業との間にあります。

一般派遣との違い

同じ派遣と名がつく働き方であっても、一般派遣と特定派遣には、派遣元会社との雇用関係の有無に違いがあります。

一般派遣の場合、派遣元企業と派遣労働者の間に常に雇用契約があるわけではありません。就業する派遣先企業が決まったタイミングで雇用契約が結ばれ、その企業での就業が終わると、派遣元企業との雇用契約も終了します。

そのため、派遣労働者は、派遣先企業での業務が終了するたびに新しい派遣先を見つける必要があります。

しかし、特定派遣は派遣元企業との間に雇用契約が存在します。派遣先が変わっても雇用関係は維持されるので、派遣先での契約期間が終了しても、給料が支払われます。

つまり、一般派遣は派遣元企業に登録をした後、実際に派遣先企業で就業している期間中のみ雇用関係があるのに対し、特定派遣は派遣元企業に登録がある期間は常に雇用関係があるということになります。

ただし、一般派遣であっても特定派遣であっても、雇用主は登録や契約をした人材派遣会社になるため、どちらの雇用主にも違いはありません。

特定派遣が廃止された理由

特定派遣が廃止された理由
特定派遣制度は、安定した雇用を提供することが目的とされていましたが、実際にはいくつかの問題があることが指摘されていました。その結果、2008年のリーマンショック以降に派遣切りが多発し、社会問題に発展しました。それにより、2015年の派遣法改正で廃止が決定となり、2018年には経過措置も終了し完全に廃止されました。結果、派遣事業は一般派遣に一本化されました。

派遣労働者の立場が不安定になった

特定派遣の最大の問題点の一つは、派遣労働者の立場が不安定になることでした。特定派遣の労働者は、名目上は正社員ですが、派遣先ではアルバイトや契約社員のような扱いを受けることが多い傾向にあったのが実態です。

そのため、派遣先での業務内容が終了すると、派遣元企業での仕事が保証されないケースが多く見られました。特定派遣の場合、雇用主は派遣元会社となりますが、待機中の報酬については契約内容によって異なります。結果として、労働者は次の派遣先が見つかるまで無給の状態に置かれることがありました。

名ばかりの正社員として扱われる

特定派遣では、派遣労働者は「正社員」として雇用されているものの、実際には名ばかりの正社員として扱われることが多くありました。そのため、派遣先企業での労働条件は、正社員とは大きく異なり、給与や福利厚生も劣るケースが多かったです。これは、労働者のモチベーションを低下させ、企業間の不平等を助長する要因となりました。

また、無期限の雇用契約を結んでも、必ずしも正社員で雇用する必要がないため、準社員や契約社員といった形態で契約を結ぶ派遣元会社もあったようです。これにより、契約社員として3ヶ月ごとの有期契約を繰り返すこともありました。

会社が解雇することがあった

事業の業績が悪化すると、支払い義務を逃れるために、特定派遣の労働者を解雇するという派遣元企業もありました。

契約内容によって異なるとはいえ、当時は待機中であっても給料の支払いをしている派遣元企業が多かったため、労働者にとってはメリットである待機中の給料保証も、派遣元企業にとってはデメリットであったためです。

このような解雇は、労働者にとって大きなリスクであり、結果的に雇用の不安定さを招いてしまったといえます。

特定派遣が廃止されたことによる影響

特定派遣が廃止されたことによる影響
特定派遣が廃止されたことで、派遣労働者の雇用環境には大きな変化が生じました。主な影響としては、派遣労働者数や売上高の減少や、派遣労働者の雇用期間といったことです。

厚生労働省平成30年度の労働者派遣事業報告書の集計結果によると、平成30年度(2018年)の派遣労働者数は全国で約168万人でしたが、前年と比較すると4.4%減少しているとされています。また、それに伴い年間の売上高も1.9%減少しています。

他にも、特定派遣が廃止され、派遣元企業が雇用安定措置を講じたことによって、無期限派遣労働者は前年度より13.5%増加しました。
出典:平成30年度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)

派遣事業の一本化で変わった派遣労働者の待遇

派遣事業の一本化で変わった派遣労働者の待遇
特定派遣の廃止に伴い、派遣事業は一本化され、日本の労働市場には大きな変化が生じました。この変化は、派遣労働者の待遇にも大きな影響を与えています。派遣事業の一本化により、派遣労働者のキャリアアップや待遇改善がどのように進んだのか、その具体的な変化について詳しく見ていきましょう。

キャリアアップの促進

特定派遣の廃止に伴い、派遣労働者のキャリアアップを促進するための制度が導入されました。例えば、派遣元企業は労働者に対して職業訓練やスキルアップの機会を提供の義務付けです。これにより、派遣労働者が市場での競争力を高め、将来的に正社員への転換が容易になることが期待されています。

正社員との均衡待遇

派遣労働者と正社員の待遇格差をなくす動きも進んでいます。派遣労働者は、正社員と同様の待遇を受ける権利を持つようになり、給与や福利厚生の面での格差が縮小されました。

また、派遣労働者の働きがいが向上し、長期的な雇用を促進をするために、派遣労働者が希望すれば、派遣元は賃金の決定理由や福利厚生の実施など、派遣労働者の均衡待遇を守るために、検討した内容を説明する必要があります。

雇用安定措置

特定派遣の廃止により、派遣元企業には派遣労働者の雇用を安定させるための「雇用安定措置」が義務付けられました。雇用安定措置とは、同じ会社に最長3年間継続して派遣される社員に対して、契約終了後も派遣労働者の雇用がより安定し、生活基盤が確立されることが目的のものです。

雇用安定措置には、派遣期間の延長や、派遣先企業への直接雇用を促進するための取り組みが含まれています。ただし、派遣が1年以上3年未満の見込みである派遣労働者に対しては、努力義務となるため、注意をしましょう。

正社員か派遣社員どちらがよいのか

正社員か派遣社員どちらがよいのか
働き方の選択肢が多様化する現代において、正社員として安定したキャリアを築くか、派遣社員として柔軟に働くか、どちらが自分にとって最適なのか悩む方は多いでしょう。どのような働き方があなたのキャリアやライフスタイルに合っているのかを考えるための指針を提供します。

同じ組織で長く働きたい人は正社員がおすすめ

同じ組織で長期的に働きたいと考えている人には、正社員としての雇用が適しています。正社員は、企業内でのキャリアアップの機会が多く、安定した雇用と福利厚生を受けられるためです。また、定期的な昇進や昇給も期待できるため、働きたい業種や職種が決まっている人も、同じ組織で長期的にキャリアを積んでいきたい方に最適でしょう。

ライフスタイルに合わせた働き方なら派遣社員がおすすめ

自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働きたいと考えている人には、派遣社員としての働き方が適しています。派遣社員は、働く期間や勤務地を自分で選べるため、仕事選択の自由度が高く、異なる業界や職種での経験を積むことが可能です。また、短期間での就業を希望する人や、特定のスキルを活かして働きたい人にとっても、派遣社員は魅力的な選択肢といえます。

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まとめ

特定派遣の廃止は、派遣労働者の雇用環境を改善するための重要なステップでした。一般派遣に一本化されたことで、労働者の待遇が向上し、キャリアアップや雇用の安定が促進されています。正社員と派遣社員のどちらが適しているかは、個々のライフスタイルやキャリアプランに依存しますが、それぞれのメリットを理解し、自分に合った働き方を選ぶことが重要です。

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