Column

転職に役立つ情報

ホーム > 転職に役立つ情報 > 派遣社員の管理とは?主な役割や派遣先企業が求められる管理項目などを解説!

派遣社員の管理とは?主な役割や派遣先企業が求められる管理項目などを解説!

派遣社員の管理とは?主な役割や派遣先企業が求められる管理項目などを解説!

派遣社員は、派遣元企業との雇用契約のもとで働きますが、実際の勤務先は派遣先企業となるため、派遣先企業にも一定の管理責任が求められます。しかし「具体的に何を管理すればよいのか分からない」と悩む企業も少なくありません。本記事では、派遣社員の管理における基本的な考え方や、派遣先企業が行うべき管理項目、適正管理のポイントについて詳しく解説します。適切な管理体制を整え、派遣社員が安心して働ける職場づくりを目指しましょう。

派遣先企業は派遣社員の労務管理する義務がある

派遣先企業は派遣社員の労務管理する義務がある
労働者派遣契約において、派遣社員は派遣元の従業員ですが、実際の業務は派遣先企業で行われます。そのため、派遣先企業にも労務管理上の一定の責任と義務が発生します。

例えば、業務の指示・命令は派遣先企業が行い、就業場所での安全衛生や労働環境の確保も派遣先企業の責任範囲です。更に、ハラスメント対策や苦情対応も求められるため、社員と同様の職場環境整備が必要になります。

派遣元は労働契約上の雇用主であるため、賃金支払いなどは派遣元の業務ですが、実務上の管理責任は派遣先に課されているのです。労働者派遣法でもこの役割分担が定められており、違反すると行政指導や契約解除のリスクがあります。

派遣社員だからといって軽視せず、自社社員同様に管理責任を認識することが重要です。

派遣管理の役割

派遣管理の役割
派遣社員を受け入れる企業では、管理体制を明確にしなければなりません。具体的には、「指揮命令者」「派遣先責任者」「苦情処理担当者」という役割を定め、適切に運用することが求められています。

これらの役割は労働者派遣法でも義務付けられており、派遣社員が安心して業務に取り組むための基本的な管理体制です。それぞれの役割が何を担当するのかを把握し、実際の業務やトラブル対応に活かしていくことが、スムーズな派遣受け入れにつながります。

以下では、各役割の具体的な業務内容や注意点について詳しく説明します。

指揮命令者

派遣先企業では、派遣社員に対して具体的な業務指示を行う担当者として「指揮命令者」を選任することが義務付けられています。指揮命令者は、日々の業務遂行において派遣社員への指示や指導、業務上の相談対応などを行う役割です。

正社員と同様の業務指示を行う一方で、労働条件の変更や人事評価などは派遣元の権限であるため注意が必要です。派遣社員の受け入れ直後には、業務手順やルールの説明を行い、業務習熟後も適切なフィードバックやサポートを行うことが求められます。

また、ハラスメント防止や安全衛生に関しても、職場で問題がないか日常的に目配りを行う役割も担います。派遣社員が安心して働ける環境を整えるため、指揮命令者は極めて重要な役割です。

派遣先責任者

派遣先責任者は、派遣社員受け入れ部署の統括的な管理者として任命されます。指揮命令者が実務指導を行うのに対し、派遣先責任者は法令遵守や派遣契約の適正管理に責任を持ちます。

具体的には、労働者派遣法に基づく台帳管理、抵触日の確認、苦情対応の体制整備などが役割です。派遣元企業との契約内容の確認や定期的な情報共有も担当し、万一トラブルが発生した際の窓口となります。

派遣社員の就業環境や勤務状況に問題がないかを定期的に確認し、指揮命令者をサポートしながら適切な労務管理を行います。派遣社員の受け入れにあたり、法令順守と職場環境維持の要となる存在であるため、派遣先責任者には派遣法への理解と管理能力が必要です。

苦情処理担当者

派遣先企業では、派遣社員が安心して働ける職場を確保するために「苦情処理担当者」の選任も必要です。これは、労働者派遣法により派遣元・派遣先双方に義務付けられているもので、派遣社員からの相談や苦情に対応する窓口の設置をしなければなりません。

苦情処理担当者は、ハラスメント、業務上の不満、安全衛生面での問題など、派遣社員から寄せられる様々な相談に対応し、問題の把握と解決に努めます。派遣元企業と連携しながら対応方針を調整し、必要に応じて職場環境の改善を提案することも役割です。

派遣社員が問題を抱え込まず、適切なサポートを受けられるよう体制を整えることは、トラブル防止と円滑な業務遂行に直結します。

派遣先企業が行うべき5つの管理項目

派遣先企業が行うべき5つの管理項目
派遣社員を受け入れる際、派遣先企業は特に重視すべき5つの管理項目があります。業務指導や勤怠管理、安全衛生管理、ハラスメント対策、契約・抵触日の管理といった具体的な管理業務です。

これらは労働者派遣法上の義務でもあり、適切に管理できていない場合は法令違反となるリスクがあります。派遣社員が快適かつ安全に働ける環境を整え、法令遵守を徹底するためにも、以下の各管理項目をしっかり理解しておくことが大切です。

ここでは、それぞれの管理項目について詳しく説明します。

業務指導、指示の管理

派遣社員は、派遣先企業の指揮命令下で働くため、適切な業務指導と指示の管理が重要です。派遣社員の受け入れ時には業務フローやルール、注意点を明確に伝え、実務上の不明点には丁寧に対応します。

また、契約範囲内の業務に従事するため、契約外業務を指示しないよう注意も必要です。日常のコミュニケーションを通じて業務内容や職場ルールの浸透を図りつつ、業務負担の適正化やフォロー体制の整備にも配慮することが、派遣社員の安定した就業につながります。

勤怠管理

派遣社員の勤怠管理は、派遣先企業が適切に行う必要があります。派遣元への報告義務もあるため、出勤・退勤時刻、休憩時間、有給休暇取得状況などの記録は正確に管理しなければなりません。

特に、残業時間は労働者派遣法に基づく36協定の遵守や契約条件との整合性が求められるため、派遣元との情報共有が重要です。勤怠状況に不備があると賃金支払いにも影響を及ぼすため、タイムカードやシステムを活用して正確に記録・管理する体制を整えましょう。

万が一、無断欠勤や遅刻などの問題が発生した場合には、派遣元企業と迅速に連携し、適切に対応します。なお、有給休暇の取得申請などの窓口は派遣元ですが、派遣先は勤務実態を記録し、取得状況を把握しておく必要があります。

健康・衛生・安全の管理

派遣社員が、安全かつ健康に働ける環境を整えることは、派遣先企業の義務です。職場内での転倒や事故防止のための設備点検や、安全教育の実施が必要です。派遣社員も労働安全衛生法の対象となるため、危険作業の有無に関わらず、適切な作業環境の確保が求められます。

他にも、新型感染症対策やメンタルヘルスケアといった現代的な健康管理にも留意し、派遣社員が安心して働ける職場環境を整えることが、派遣先企業に望まれています。

ハラスメント、苦情の管理

派遣社員に対するハラスメントや職場内トラブルは、派遣先企業にとって重大なリスクです。職場内でのパワハラやセクハラ、いじめ行為は、派遣社員の就業継続に悪影響を及ぼし、最悪の場合は損害賠償や契約解除に発展する可能性もあります。

そのため、ハラスメント防止指針に基づき、全従業員への研修や啓発活動を行い、派遣社員にも適用されるルールとして周知することが重要です。また、派遣社員からの苦情や相談を受け付ける窓口を明確にし、迅速な対応体制を整備しなければなりません。

派遣社員であることを理由に対応を怠ることは違法とされるため、派遣先企業は適切な管理が必要です。

契約、抵触日の管理

派遣社員の契約管理は派遣元企業の役割ですが、派遣先企業にも抵触日や契約内容に関する管理責任があります。労働者派遣法では、派遣社員の同一部署での就業期間は原則3年が上限とされており、この期間を管理しないと法違反となります。

これを「抵触日管理」と呼び、派遣元企業と情報を共有しながら適切な対応が必要です。更新や終了の判断は派遣元と協議しながら行い、延長手続きや業務引継ぎなどの準備も求められます。

また、契約期間や業務範囲の変更は直接指示できず、派遣元との再契約が必要となるため、安易に業務内容を変更することは避けましょう。契約終了の際には、派遣社員への説明や業務終了に向けた調整を行い、円滑な契約管理を徹底することが大切です。

派遣先管理台帳の作成

派遣先企業は、労働者派遣法に基づき「派遣先管理台帳」の作成が義務付けられています。派遣先管理台帳とは、受け入れている派遣社員の情報や就業条件、契約期間、業務内容などを記録した台帳で、適正な管理と法令遵守のために作成・保管するものです。

記載項目は、派遣社員の氏名、派遣元企業名、契約期間、業務内容、指揮命令者の氏名などがあり、これらの情報を就業開始日から作成し、就業終了後3年間保管しなければなりません。

派遣先企業が台帳を作成していない場合、行政指導や罰則の対象となるため注意が必要です。派遣社員の人数が多い企業では管理が煩雑になりがちなため、専用のシステム導入などで効率化することも効果的です。

派遣社員の適切な受け入れと法令遵守を実現するための必須業務になります。

派遣社員の管理でよくある悩み

派遣社員の管理でよくある悩み
派遣社員の管理業務は多岐にわたるため、担当者が悩みやすいポイントも多く存在します。特に契約更新や終了日の管理、法令遵守の不安、契約書や台帳の煩雑な管理といった課題は、多くの派遣先企業で共通しています。

以下より、派遣社員の管理でよくある悩みについて具体的に整理し、実際の管理業務で注意すべきポイントを解説していきます。

更新日や契約終了日の管理が手間

派遣社員の契約期間は、基本的に短期〜中期が多く、契約更新や終了日が頻繁に発生します。派遣社員ごとに契約期間が異なるため、更新期限の管理が煩雑になりやすい点が派遣先企業の悩みです。

更新の有無を検討する際は派遣元企業との協議が必要であり、社内調整や業務引継ぎの準備も発生します。契約終了日を忘れると違法な継続就業となるリスクがあるため、慎重な管理が求められます。

労働者派遣法の遵守に関する不安

労働者派遣法は改正も多く、法令内容が複雑なため、派遣先企業では「法令違反になっていないか」という不安を抱えがちです。特に、抵触日や派遣期間制限、有期契約に関するルール、派遣先管理台帳の作成義務などは遵守し忘れるケースが多いポイントです。

法改正内容のキャッチアップができていない企業も多く、「本当に適正運用できているのか」と管理担当者が不安を感じるケースが多いのが現状です。

派遣先管理台帳や個別契約書の管理が煩雑

複数の派遣社員を受け入れている企業では、管理台帳や個別契約書類の管理が煩雑になりがちです。派遣先管理台帳は派遣社員ごとに作成・保管する必要があり、派遣元企業との契約書や抵触日管理資料なども併せて管理しなければなりません。

派遣社員の異動や契約更新時には都度書類更新が発生し、Excel等での管理では手間やミスが生じやすくなります。特に人数が多い場合、誰の契約がいつ終了するのか、管理台帳は最新か、といった情報把握が困難に。

他にも、契約書の保管・管理ルールが不明確な場合、重要書類紛失や情報漏洩のリスクも生じます。

派遣社員の管理を効率化するには

派遣社員の管理を効率化するには
派遣社員の管理業務は負担が大きいため、効率化が課題となっています。特に契約管理や法令遵守対応、台帳作成などは専門知識や多大な労力が必要な業務です。

こうした背景から、多くの企業が「派遣管理デスクサービス」や「派遣管理システム」といった外部サービスやITツールを活用して管理効率化を図っています。

自社の状況や管理規模に応じて最適な方法を選ぶことが、業務負担軽減と法令遵守の両立に繋がります。ここからは、各方法の特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。

人材派遣会社の「派遣管理デスクサービス」の利用

派遣社員の労務管理を効率化する方法の一つが、人材派遣会社が提供する「派遣管理デスクサービス」の活用です。これは、契約書管理や派遣先管理台帳の作成、抵触日管理、法令遵守の支援など、派遣社員に関する一連の管理業務を派遣会社にアウトソーシングできるサービスです。

管理業務に詳しい専門スタッフが対応するため、法令違反のリスク軽減や管理負担の大幅な削減が期待できます。特に派遣社員の受け入れが多い企業では、業務の煩雑さからサービスの利用が進んでいます。

メリット

法改正への対応や、抵触日管理など専門知識が必要な作業を派遣会社が代行してくれるため、派遣先企業は法令違反リスクを低減できます。また、契約書作成・台帳作成など煩雑な事務作業を軽減できるため、担当者の負担削減も実現します。

派遣社員が多い企業では、複数拠点の契約情報を一元管理できるメリットも大きいです。更に、苦情対応のアドバイスや労務相談などのサポートも受けられるため、トラブル時にも安心して対応できる点も利点です。法律遵守と業務負荷軽減の両立が図れる点で、多くの企業が導入を検討しています。

デメリット

派遣管理デスクサービスを利用する際のデメリットは、やはりコストが発生する点です。アウトソーシング費用が別途必要となるため、少人数しか派遣社員を受け入れていない企業ではコストメリットが出にくい場合があります。

他にも、外部に管理業務を任せるため、自社内で契約状況や台帳情報を把握できなくなりがちという点も注意が必要です。急な契約変更や、トラブル時には自社対応が遅れるリスクもあり、一定の社内管理体制は維持しておく必要があります。

サービス提供範囲も業者ごとに異なるため、必要な業務が本当に対応可能か事前確認も欠かせません。委託先への過度な依存にならないよう、管理範囲と自社の役割を明確にすることが重要です。

人材派遣管理システムの導入

派遣社員の労務管理を社内で効率化したい場合には、「人材派遣管理システム」の導入も有効な選択肢です。これは、派遣社員の契約情報、抵触日、勤怠状況、派遣先管理台帳などを一元的に管理できるシステムで、クラウド型やオンプレミス型など様々なタイプがあります。

手作業で行っていた情報管理をシステム化することで、ミスや漏れを防ぎ、業務負担を大幅に軽減できます。更に、法改正への対応も自動でアップデートされる場合が多く、法令遵守のサポートにもなります。

派遣社員の人数が多い企業や契約更新が頻繁な職場では、特にその効果を発揮するシステムです。

メリット

人材派遣管理システムとは、派遣社員の契約情報・抵触日・台帳データなどを一元管理できるクラウド型の業務支援ツールです。契約更新や抵触日アラート機能、管理台帳の自動作成など、法令遵守をサポートする機能が搭載されており、ミスや漏れを防げます。

契約更新日や契約終了日が近づくと自動で通知される機能もあり、管理担当者の負担を大きく軽減できます。ペーパーレス化により契約書の紛失リスクも回避でき、セキュリティ面でも安心です。

複数拠点・複数部門で派遣社員を受け入れる大規模企業では特に効果を発揮します。社内で業務を完結できるため、外部委託せずとも法令対応と業務効率化を同時に実現できるのが大きなメリットです。

デメリット

一方で、派遣管理システムは導入コストと運用負担がデメリットとなります。初期導入費用や月額利用料が発生し、システム選定・設定作業にも手間がかかります。また、契約内容や台帳情報の入力作業は自社で行う必要があるため、完全な手間削減とはなりません。

加えて、システムの操作方法を担当者が覚える必要があるため、導入直後は教育やサポート体制が必要となります。頻繁に契約変更が発生する場合には情報更新作業が負担となることもあります。

システムに慣れるまで一定期間がかかる点や、社内ルール変更に伴い設定調整が必要となる点なども考慮し、導入前にしっかり検討することが重要です。

まとめ

派遣社員の労務管理は、派遣元企業だけでなく、派遣先企業にも多くの義務と責任が課されています。しかし、自社で管理するには煩雑な作業が多いため、「派遣管理デスクサービス」や「派遣管理システム」などを上手く利用するのがおすすめです。利用の際は、自社の規模や受け入れ体制に合わせて適切な管理手法を選び、法令遵守と業務効率化の両立を目指すことが重要です。

派遣社員の管理にまつわるよくある質問

Q1. 派遣社員は自社の社員ではないのに、管理責任があるのはなぜですか?

派遣社員は雇用主(派遣元)との契約で雇われていますが、実際の勤務場所は派遣先企業です。そのため、業務指示や職場環境の整備、安全衛生、ハラスメント防止など、現場での実務的な管理は派遣先企業に責任があります。これは労働者派遣法で定められています。

Q2. 派遣社員への業務指示は誰が行えばよいですか?

派遣先企業は「指揮命令者」を選任し、その担当者が日常業務の指示や相談対応を行います。なお、労働条件の変更や人事評価などは派遣元の権限ですので、指揮命令者が行うべきではありません。

Q3. 派遣社員から苦情があった場合、誰が対応すべきですか?

派遣先企業は「苦情処理担当者」を選任し、派遣社員からの相談・苦情の窓口となる必要があります。派遣元と連携して対応する体制を整え、派遣社員が安心して声を上げられる環境を構築しましょう。

Q4. 派遣社員の勤怠管理は派遣元がするのではないのですか?

実際の勤務状況を把握できるのは派遣先企業のため、勤怠管理は派遣先が責任をもって行う必要があります。出勤・退勤時間、残業の有無、有給休暇の取得状況などは、派遣元と正確に情報共有することが求められます。

Q5. 派遣社員に対してハラスメント対策は必要ですか?

必要です。派遣社員も職場の一員として保護される対象です。パワハラ・セクハラを含むあらゆるハラスメント行為は、派遣先の責任として防止措置・相談対応が義務付けられています。

まだまだ気になる派遣のコト

Supervisor Image

type IT派遣編集部

type IT派遣編集部では、派遣に関する知識やスキルアップの方法、業務に活かせる資格など、転職に役立つ情報をお届けしています。
type IT派遣は、ITエンジニア、クリエイターに特化した人材派遣サービスです。IT・Web業界に精通したキャリアコーディネーターが、あなたのお仕事探しをサポートいたします。

合わせて読みたい記事

派遣を考えている方向けのコラム
派遣を考えている方向けのコラム
理想のライフスタイルとは?具体例と実現に必要なことを紹介!
派遣を考えている方向けのコラム
派遣を考えている方向けのコラム
仕事とプライベートを両立させる方法は?ワークライフバランスの考え方も解説
派遣を考えている方向けのコラム
派遣を考えている方向けのコラム
仕事が早い人はどうしてる?8つの特徴や効率的にスピードを上げる方法を解説!

特集から求人を探す

朝遅めの派遣求人特集
英語力を活かす派遣求人特集
大手・有名企業で働く派遣求人特集