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派遣の抵触日とは?抵触日を迎えたあとの働き方や注意点を解説!

派遣の抵触日とは?抵触日を迎えたあとの働き方や注意点を解説!

派遣社員として同じ企業で長く勤めている場合、「抵触日」に注意が必要です。抵触日を迎えると、そのまま同じ職場で働き続けることはできません。
本記事では、抵触日がどのようなものなのか、抵触日を迎えたあとはどのような選択肢があるのかを解説します。

派遣社員の「抵触日」とは?


派遣社員の派遣期間の上限は、2015年に施行された改正労働者派遣法によって「3年」と上限が定められました。そのため、「3年ルール」とも呼ばれています。抵触日は、この派遣期間の上限に大きく関係しています。

まずは、抵触日について詳しく確認しましょう。

派遣社員は抵触日を迎えると同じ組織で働くことができない

派遣社員の抵触日とは、「派遣期間の制限を過ぎた翌日」を指します。たとえば、2022年4月1日から働き始めた場合、2025年3月31日までが契約期間、2025年4月1日が抵触日となります。

派遣社員の派遣期間の制限は、「個人単位」と「事業所単位」の2つの概念で考えられます。この2つの概念が存在することから、人によっては契約期間の上限が3年にならないケースもあります。

抵触日が設定されている理由

抵触日は、派遣社員が使い捨てにされないようにするために設けられました。

企業が従業員を正規雇用する場合、非正規雇用で人を雇うよりも福利厚生などにコストがかかる上、簡単には解雇できません。一方で、派遣という働き方は、「臨時・一時的な働き方」という考え方をもとにしています。よって、正規雇用ほどコストがかからず、有期なので必要に応じて契約を更新しないという選択ができます。

派遣社員を長期間雇用し続けることができれば、企業は安価で雇用調整がしやすい派遣社員を使うことになるでしょう。すると、多くの労働者は、安定して働ける正社員として働くことができなくなり、雇用の安定が損なわれることになります。

現在、3年を超えて派遣社員を雇う場合は、派遣先の企業が直接雇用すべきであるとされています。

抵触日の種類

先にお伝えした通り、抵触日には個人単位と事業単位のものがあります。

個人の抵触日

個人単位の抵触日は、「1人の派遣社員が同一組織で働くことができる派遣期間が切れた翌日」を指します。ここでいう組織とは、一般的には「部署」「課」「グループ」などが該当しますが、実態に則して判断されます。

たとえば、A株式会社 総務部 経理課で働いていた人であれば、3年経つと同社の総務部 経理課で働くことができなくなります。一方で、A株式会社 総務部 庶務課であれば、課が変わっているため同一企業でも働き続けることができます。

ちなみに、派遣会社を乗り換えたとしても、同一組織であれば派遣期間は通算してカウントされます。

事業所の抵触日

事業所単位の抵触日は、「同一事業所で派遣社員を雇用できる派遣期間が切れた翌日」を指します。事業所とは、サービス・生産の提供を継続的に行っている独立した場所にあり、経営単位で人事や経理、指導監督、働き方がある程度独立している施設です。一般的には各支店や営業所、工場などを指します。

同一事業所において、派遣社員を受け入れることができるのは、最長3年までです。たとえば、A株式会社で派遣社員としてBさんを雇用し、その2年後に派遣社員Cさんを雇用した場合、事業所単位の派遣期間の制限は、Bさんが働き始めてから3年となります。Cさんは、働き始めて1年で事業所単位の抵触日が来てしまうため、原則としてそのまま働き続けることができません。

ただし、事業所単位の派遣期間は、企業側が手続きを行うことで延長が可能です。具体的には、抵触日の1ヶ月前までに過半数労働組合*¹、または過半数代表者*²に意見聴取を行うことで、企業は3年を超えて派遣社員を受け入れることができます。派遣期間の延期が行われれば、Cさんは事業所単位の抵触日を過ぎて、個人単位の抵触日が来るまで、同一組織で働き続けることができます。

※1過半数労働組合=事業所の直接雇用されている全労働者の過半数で組織する労働組合
※2過半数代表者=労働組合加入者数が直接雇用されている全労働者の過半数を超えていない場合に、労働組合未加入者のなかから選出される労働者の過半数を代表

派遣期間の制限を受けないケース

派遣社員として働いている人のなかには、派遣期間の制限を受けない人も存在します。派遣期間の制限を受けないのは以下のようなケースです。

・派遣会社(派遣元)に無期雇用されている
・60歳以上
・日数限定がある業務に従事する(派遣先企業の一般労働者が1ヶ月に働く日数の半数以下、かつ月に10日以下)
・派遣先企業の労働者が産前産後休暇・育児休暇・介護休暇を取得している間の代替業務に従事する
・あらかじめ完了時期が明確に決められている有期プロジェクト業務に従事する

抵触日を迎えたあとの4つの働き方


抵触日を迎えた派遣社員は、同一組織で働くことができなくなります。その後の働き方には、主に下記の通り4つの道があります。

・同じ派遣先の別の組織で働く
・別の派遣先で働く
・派遣先に直接雇用されて働く
・派遣会社で無期雇用されて働く

それぞれどのような選択肢なのか確認していきましょう。

同じ派遣先の別の組織で働く

別の組織であれば、引き続き同じ企業でも働くことができます。課・グループを変えて働く場合、派遣期間は最長でプラス3年となります。「職種や業務内容にこだわらず、同じ会社で働きたい」という場合に向いています。

ただし、事業所単位での派遣期間の制限があるため、同じ企業で働き続けるためには、企業側が派遣期間の延長を希望し、過半数労働組合などへの意見聴取を行わなければなりません。そのため、別組織で働きたいという希望を出しても、企業側が契約の更新延長を望まない可能性もあります。

別の派遣先で働く

派遣先を変えて働けば、職種や業務内容を変えずに働き続けることができます。派遣先の企業にこだわらず、「業務上のスキルや経験を活かして働きたい」「スキルアップ・キャリアアップを目指したい」という場合は、別の派遣先で働くとよいでしょう。

しかし、希望の業務や職種に就ける派遣先がすぐに見つかるとは限りません。希望の派遣先企業を紹介してもらえるよう、早めに派遣会社に相談しましょう。

派遣先に直接雇用されて働く

派遣先の企業に直接雇用されることで、同一組織で働き続けることができます。直接雇用とは、派遣会社を間に入れず、企業と労働者が直接雇用契約を結ぶことを指します。「安定した生活を望む」「正社員になりたい」という人は、希望を出してみましょう。

ただし、直接雇用には、正規・非正規は問わず、正社員のほか、パート・アルバイト・契約社員が該当します。派遣社員から正社員に登用されるのは、難しいのが現実です。また、派遣社員として働くよりも給与や待遇などが悪くなる可能性もあるため、契約内容には注意しましょう。

派遣会社で無期雇用されて働く

派遣元企業で無期雇用されれば、派遣期間の制限を受けないケースに該当するため、同じ企業の同じ組織で働き続けることができます。無期雇用とは、期限の定めをせず、派遣会社と雇用契約を結んで働くことを指します。

派遣会社で無期雇用されるためには、「労働期間が通算で5年以上あること」と「労働者本人が希望していること」が必要です。労働期間が5年必要であるということで「5年ルール」と呼ばれています。無期雇用派遣の場合、研修制度やフォロー体制が充実していることが多いため、「未経験の職種に転職したい」という人に向いています。

契約期間以降の働き方は派遣会社に要相談!


抵触日やその後の仕事について不安を感じたら、まずは派遣会社に相談しましょう。

派遣期間が終わったあとの働き方は、必ずしも派遣社員側が決められるわけではありません。しかし、派遣会社には今後どう働きたいか希望を出すことはできます。「部署は変わっても同じ企業で働きたい」「直接雇用してほしい」という場合は、派遣会社から派遣先の企業にかけあってもらうことが可能です。

また、別の派遣先で働く場合も、「今あるスキルを伸ばしたい」「同業種でキャリアアップしたい」「○○(スキル)を身に付けられる職種に転換したい」といった希望を出しましょう。希望の有無によって、派遣会社から紹介される派遣先が変わることがあります。

抵触日に関する注意点

抵触日に関しては、ほかにも注意点がいくつかあるため最後に確認しておきましょう。場合によっては、派遣社員側が不利益を被ることもあるため、派遣期間や抵触日のルールについては派遣会社任せにせず、自分でもしっかりと把握しておきたいところです。

個人と事業所の抵触日は事業所の抵触日が優先される

個人単位の抵触日と事業所単位の抵触日は、事業所単位の抵触日が優先されることになっています。

そのため、事業所単位の抵触日が個人単位の抵触日よりも先にきた場合、派遣社員は同一組織での派遣期間が3年未満でも同じ職場で働けなくなります。一方で、個人単位の派遣期間は3年未満のため、企業側が派遣社員の受け入れを延長すれば、同一組織でも働き続けることができます。

派遣会社には派遣社員に抵触日の通知を行う義務がある

事業所単位の抵触日が、個人単位の抵触日より優先されることもあり、派遣先企業は派遣会社に対して事業所単位の抵触日を通知する義務があります。そして、派遣会社は、派遣社員に対して、契約時に抵触日を伝える義務を有します。

場合によっては、派遣期間が想定よりも短くなる可能性もあるため、よく確認が必要です。また、個人単位の抵触日に関する注意点は、派遣先企業から派遣会社への通知はないため、派遣会社と自分で管理しなければなりません。

派遣終了から3ヶ月+1日経てば同じ職場で働ける

抵触日をリセットできる「クーニング期間」という仕組みがあります。クーニング期間は「派遣期間終了後3ヶ月と1日」で、個人単位の抵触日・事業所単位の両方がリセットされます。リセットが完了すれば、企業は同一組織に同一の派遣社員を受け入れられるようになります。

しかし、派遣期間延長の手続きを省きたい場合、または派遣社員の合意がない場合には、クーニング期間の同一組織への再派遣は法律上推奨されていません。また、クーニング期間後、再派遣が決まっている場合、クーニング期間に派遣社員が失業手当を受けとることは困難です。クリーニング期間後の同一組織への再派遣はそうないことではありますが、提案を受けたら注意が必要です。

抵触日に注意しながら今後のキャリアを考えよう


派遣社員には、個人単位・事業所単位の抵触日があり、最長でも3年しか同一組織で働くことができません。事業所単位の抵触日は、個人単位の抵触日よりも優先されるため、場合によっては3年未満でも同一組織で働けなくなります。事業所単位の抵触日は、派遣先企業から通知する義務があるため、契約前に知ることができます。派遣先を決めるときは、派遣期間も考慮して選びましょう。

抵触日を迎えたあとは、同企業の別組織で働いたり、別の派遣先で働いたりとほかの働き方や働く場所を変える必要があります。今後を考え、今のスキルを活かすのか業界を変えてキャリアアップするのか方向性をしっかり検討し、派遣会社によく相談しましょう。

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