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無期雇用派遣とは?正社員との違いやメリット・デメリットを解説

無期雇用派遣とは?正社員との違いやメリット・デメリットを解説

無期雇用派遣とは?


『無期雇用派遣』という言葉を聞いたことがありますか?“派遣”と言えば、数カ月ごとに契約更新をして、決められた期間で働く…というイメージが強いのではないでしょうか。しかし、派遣の中にも種類があり、その一つが今回の記事で取り上げる『無期雇用派遣』です。無期雇用派遣について正しい情報を知れば、“長期雇用ができない”“収入が不安定”というような派遣のマイナスイメージが変わるかもしれません。まずは無期雇用派遣の特徴など、基本情報から解説していきます。

無期雇用派遣の特徴

無期雇用派遣では、派遣会社と派遣スタッフの間で期限を設けずに雇用契約を結びます。派遣先の会社が未確定の状態であっても、派遣会社と雇用契約を結ぶため、「派遣会社に雇われている状態」となります。雇用期間は定められていないので、同じ職場で長い期間働くことが可能です。

無期雇用派遣の対象者

無期雇用派遣は、「同一の使用者との間で、有期労働契約(期間の定めのある労働契約)が通算5年を超えて反復更新された」方が対象者となります。派遣元との有期労働契約が複数回更新され通算5年を超える時点で、労働者からの申込みにより無期労働契約(期間の定めのない労働契約)に転換ができます。

無期雇用派遣と登録型派遣(有期雇用派遣)の違い

無期雇用派遣の登録型派遣との違いは、仕組みそのものにあります。無期雇用派遣では派遣先が決まっていない状態でも、派遣会社との雇用関係は続くと説明しましたが、登録型派遣では派遣先企業での就業が終わると同時に、次の派遣先が見つからなければ派遣会社との雇用関係も終了します。

また派遣の「3年ルール」が適応されるかされないかも、登録型派遣との相違点です。登録型派遣の場合、「同一の組織では3年以上働き続けることができない」という派遣の3年ルールが適用されますが、無期雇用派遣の場合は適用外となるため、同じ職場でも3年以上働き続けることができます。

さらに給与の支払われ方にも違いがあります。登録型派遣では多くの場合時給制で、給与を受け取れるのは、派遣先で働く派遣会社と雇用関係がある期間のみです。一方無期雇用派遣では、派遣会社の社員の扱いとなり月給制になっているのが一般的で、実際の業務がない間も雇用関係は継続し、派遣先が決まっていない待機期間中も月給制で給料を受け取ることができます。ただし、待機期間中は仕事をしないというわけではなく、無期雇用派遣社員向けの研修に参加したり、派遣会社で仕事をしたりすることもあります。

無期雇用派遣として働くメリット


無期雇用派遣で働くとどんないいことがあるのでしょうか?主に登録型派遣と比較しながら、メリットについて深堀していきます。

長期的な雇用・収入が安定する

無期雇用派遣では派遣の3年ルールの適用や、雇用契約の更新がないため、長期的な雇用を見込むことができます。また派遣先が見つからない場合も待期期間として給与の支払いがあるため、万が一、派遣先での仕事が途切れてしまった場合も、収入がなくなる心配がありません。

派遣元が雇用を保証する

登録型派遣では、派遣先での就業が終了した場合、次の派遣先が見つからなければ派遣会社との雇用契約も同時に終了します。一方、無期雇用派遣では派遣先での就業が終わっても、派遣会社との雇用関係は続きます。更新のタイミングで毎回、雇用契約が続けられるかどうかを心配する必要がなくなるため、安心できるポイントと言えるでしょう。

派遣期間制限の3年を超えても同じ業務で働きつづけられる

先述したように、無期雇用派遣では「3年ルール」の適用がありません。派遣の3年ルールとは、原則として「派遣社員は同じ派遣先の同じ部署で3年以上は働けない」ことを定めた制度です。そのため、登録型派遣では3年を超えて同じ職場で仕事をすることができませんが、無期雇用の場合はこのルールを気にせず、3年を超えても同じ職場で同じ業務を続けることができます。

将来的に収入アップが期待できる

無期雇用派遣には、正社員のような昇給制度や賞与制度が設けられているのが一般的です。昇給は、派遣先企業での勤務実態を派遣会社が調査・評価したうえで実施され、賞与は派遣会社の業績に合わせて発生します。査定のタイミングは派遣会社ごとに決められていることが多く、定期的にチャンスがあります。登録型派遣の場合、このような昇給制度や賞与制度が設けられていないことがほとんどです。

キャリア形成のための研修・サポートを受けられる

無期雇用派遣を行う派遣会社は「キャリア形成支援制度」の設定が義務付けられているため、派遣スタッフが、一定の研修やキャリアアドバイスが受けられる環境が整っており、長期的なキャリア形成をサポートしてもらえます。ただし、制度の詳細は派遣会社ごとに異なるため、雇用元となる派遣会社の制度の詳細については、事前に調べておくことをおすすめします。

年齢という不安が解消される

年齢が上がっていくにつれ、転職のハードルも高まる傾向にあるため、中高年世代に差し掛かってからの急な解雇や契約打ち切りは誰しも不安に感じるでしょう。その点、無期雇用派遣では長期雇用が派遣元に保証されているため、年齢に伴う転職リスクに対する不安を解消することができます。

無期雇用派遣として働くデメリット


ここまでメリットについて解説してきましたが、一方で「無期雇用派遣はやめたほうがいい」という声を耳にすることもあります。雇用・給与が安定している無期雇用派遣ですが、実は退職者が意外と多い、というのも事実です。それらの理由に当たるデメリットと、無期雇用派遣を選ぶ際の注意点について、以下で触れていきます。

選考があり採用のハードルが高い

一般的な登録型派遣の場合、書類選考も面接もなく、派遣会社に登録するだけで仕事を始めることができます。一方、無期雇用派遣では、派遣会社の社員として「採用」されるため、書類選考や面接があります。また同一の派遣会社で継続して通算5年働いた後に無期雇用派遣に申し込む場合も、転換時には面接などの選考があります。さにに、いくつかの派遣先を繋ぎながら5年間継続して雇用され続けなければならない点にも壁があるため、いずれにしても登録型派遣よりは採用ハードルが高いと言えるでしょう。

職場・仕事内容が選べない

無期雇用派遣は派遣会社からの業務命令で就業し、派遣先企業を自分で選ぶことができないため、労働時間や勤務地が希望通りではないことも珍しくありません。また、登録型派遣のように「この派遣先は合わないな」と感じても、自分の意思で派遣契約を更新しない、ということもできないのが無期雇用派遣です。派遣のメリットの一つとも言える「仕事選択の自由度が高い」という点が活きないのが無期雇用派遣と認識しておくべきでしょう。

ライフスタイルの変化に対応できない

無期雇用派遣は派遣会社からの就業命令に従って就業するため、登録型派遣のように希望曜日だけ、短時間で、というような労働時間の選択ができません。基本的に働く時間が決まっているため、自分のライフスタイルに合わせて都度働き方を変化させる、ということは難しいでしょう。

派遣先が変更される可能性がある

派遣先での就業が終了した場合、無期雇用のため派遣会社との雇用契約は終了しませんが、派遣先は変更になります。また、派遣会社から派遣先の異動命令があった際は、自分の意志に関係なく従わなければなりません。雇用契約期間の制限や3年ルールの適応などはないものの、派遣先が変わる可能性はいつでもあります。

契約を切られる可能性がある

無期雇用とはいえ、通常の正社員にも解雇される事例があるのと同様に、契約が終了する可能性はゼロではありません。解雇や契約終了となるケースとしては、就業規則が守られない、業務命令に対する違反、病気やけがによる就業不能、セクハラ・パワハラ、機密情報の漏洩、経歴詐称、横領・着服、私生活上での犯罪、などが挙げられます。また、自身による過失ではない場合も、経営難や余剰人員の削除など企業側の事情で、契約解除となることがあります。

長期休みが取りづらい

派遣ならではのメリットとも言える、自由に長期休み期間を作れる、という点も無期雇用派遣には当てはまりません。派遣会社の就業命令に従い切れ目なく働き続ける必要があるので、長期の旅行や趣味を楽しむような自由な時間を確保するのは難しいと言えるでしょう。

実際には昇給・高収入は難しい

無期雇用派遣では収入アップや昇給・昇格制度があると先述しましたが、実際には無期雇用派遣になっても「実際もらえる給料は登録型派遣のときと変わらない」ことも実態として珍しくないようです。また昇給・昇格についても、制度自体はあっても具体的な規定がなく、一向に給料が上がらないなんてことも…。かと言って、登録型派遣のように時給の高い派遣先を選ぶこともできないため、どんな派遣先であっても基本給が固定となってしまうのが、給与が上がりにくい要因の一つでしょう。

無期雇用派遣と正社員の違い


ここまでの説明を読んで、無期雇用派遣は月給制で、ボーナスもあって、昇給制度もあるし、雇用期間に制限はないから、ほとんど正社員と変わらないのでは?と思った方もいるのではないでしょうか?しかし、無期雇用派遣と正社員は似ているようで、実は全く異なる働き方です。それぞれの違いについて以下で解説します。

派遣先企業の正社員との違い

派遣先企業の正社員との違いとして、まず挙げられるのは「雇用主」についてです。派遣先の正社員は就業する企業に直接雇用されますが、無期雇用派遣の場合、派遣先ではなく派遣元と雇用契約を結びます。また管理職ポストなどの重要ポジションや、出世などは圧倒的に正社員の方がチャンスが多く、無期雇用派遣では難しいケースがほとんどです。

派遣会社の正社員との違い

派遣会社の正社員との違いは、派遣会社によって待遇に差があります。しかし、上記で挙げた管理職ポジションへの就任などは、無期雇用派遣の場合、同様に難しいケースがほとんどのようです。また、無期ではあるもののあくまで”派遣社員”のため、正社員の”同僚”という意識が希薄な場合も多く、壁を感じることもあるでしょう。

無期雇用派遣になるためには?

無期雇用派遣として働くためには、以下で紹介する二つの方法があります。それぞれ全く異なる方法のため、無期雇用派遣を考えている方は特徴を理解した上で、自分に合った方法を検討しましょう。

派遣会社の無期雇用派遣の求人に応募する

一つ目の方法は、無期雇用派遣を募集している派遣会社の求人に応募するやり方です。派遣会社によっては、最初から無期雇用派遣で募集しているところがあります。採用されるまでに、書類選考や面接を受けたりする必要があるため、通常の転職活動と同様に履歴書や職務経歴書の作成、面接対策などを行う必要があります。

登録型派遣(有期雇用派遣)からの転換する

もう一つの手段として、登録型派遣から無期雇用派遣へ転換する方法があります。ただし、同じ派遣会社から通算5年以上派遣された場合に転換を申し込める制度となっているため、必ずしも確実な方法とは言えません。派遣には「3年ルール」が存在し、登録型派遣として働く5年の間に必ず一度は派遣先を変えなければなりません。また3年のタイミングに限らず、契約が終了した場合はスムーズに次の派遣先を見つけなければならない点も、難しいポイントです。

さらに、無事条件を満たし転換を申請できたとしても、必ず無期雇用化できる訳ではありません。派遣会社での面接などの選考をクリアし、通過できた場合のみ無期雇用派遣として採用となります。

無期雇用派遣として働くのが向いている人は?


無期雇用派遣は「自分で自由に派遣先(仕事)を選べる」「自由な時間が確保しやすい」といった派遣ならではのメリットが当てはまらない働き方です。また昇格なども正社員と比較して難しく、収入も低めの傾向にあります。そのため、基本的なビジネススキルをつけるために事務経験などを積みたい人、今後のためにスキルアップを目指したい、というような若年層に向いている働き方と言えるでしょう。自由な働き方を求める場合は登録型派遣がおすすめですし、本当にキャリアアップを目指すのであれば正社員を選択するほうが無難です。

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