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派遣社員が病気になったら休職できる?休業補償や傷病手当はもらえる?

派遣社員が病気になったら休職できる?休業補償や傷病手当はもらえる?

派遣社員が病気になったら?


派遣社員として働く予定の方や検討している方のなかには、「派遣社員で働いているときに病気にかかってしまったらどうしよう・・」と不安に思っている方もいるのではないでしょうか?この記事では、派遣社員が病気になってしまったら派遣契約はどうなるのか、生活を守るためにどのような制度があるのかなどを解説します。

有給休暇の取得で乗り切るのが基本

派遣社員が病気や怪我により出勤ができなくなってしまった場合、有給休暇を取得して乗り切るのが基本です。労働基準法では、以下の2つの条件を満たす派遣社員には、有給休暇を付与すると定めています。

・派遣先企業に6ヶ月以上継続勤務している
・全労働日の8割以上出勤している

派遣社員の場合、勤務開始から6ヶ月間の継続勤務をしたタイミングで、派遣会社から10日間の有給休暇を付与されます。その後は、「1年6ヶ月の継続勤務で11日」、「2年6ヶ月の継続勤務で12日」、「3年6ヶ月の継続勤務で14日」と、勤務年数が長くなるごとに有給休暇の日数が増えていきます。6年6ヶ月以上続けて勤務すると、上限となる年間20日の有給休暇を付与されます。時短勤務やパートなど、週の所定労働日数が4日以下かつ所定労働時間が30時間未満の場合は、出勤頻度に応じた比例付与を行います。
しかし、付与された有給休暇を使い切ってしまった状態で、病気にかかってしまう方もいるかもしれません。そのような場合のために、翌年分の有給休暇の前借りをすることができる企業もあります。不明な場合は、派遣会社に相談しましょう。

感染症の場合は法律によって出勤停止となる

新型コロナウィルス感染症、インフルエンザ、ウイルス性肝炎などの感染症にかかってしまった場合は、出勤停止となります。これは労働者本人の悪化を防止すること、他の労働者に被害が及ぶことを防止するために、労働安全衛生法により定められています。感染症により出勤停止になった場合は、仕事を休んでも賃金は支払われないので注意が必要です。

病気を理由に解雇される可能性もある

病気によって業務が耐えられない状態になった場合、解雇される可能性があります。この場合、就業規則の解雇事由に「精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき」などの内容が契約書に記載されていること、解雇日の30日以上前から解雇予告をすることが条件です。もしも30日未満に解雇をする場合は、解雇予告手当を会社が支払わなくてはなりません。
一方で、病気であっても業務が可能な場合や病気の発生に業務が関係している場合は、解雇される可能性は低くなります。また、病気とは違いますが、妊娠が理由で解雇することは違法です。

派遣社員は休職制度を利用できるのか

派遣 病気

休職制度とは、雇用契約を維持しつつ労働義務を長期的に休むことです。派遣社員が病気や怪我、家庭の事情により働くことができなくなったとき、休職制度を利用することはできるのでしょうか?

派遣社員は派遣先企業の休職制度を利用できない

派遣社員は派遣先企業の休職制度を利用することはできません。派遣社員が雇用関係にあるのは派遣会社であって、派遣先企業ではないためです。有給休暇を取得して休む以外の場合は、基本的に無給の欠勤扱いで、長期になると退職扱いになることもあります。ただし、派遣会社と派遣先企業の両社の許可があれば、長期休暇を取れる可能性もあります。

派遣会社の休職制度を利用できる可能性はある

雇用主である派遣会社の休職制度を利用できる可能性はあります。しかし、派遣社員は人員補充のために採用されているため、長期休暇の取得はしづらいのが実状です。派遣会社が休職制度を利用させてくれる場合もありますが、一般的に可能性は低いと認識しておきましょう。また、派遣会社で休職制度を利用した場合、派遣先企業は退職扱いになります。

病気で働けなくなったときは保障制度を利用しよう

派遣 病気
派遣社員は働いた時間がそのまま給与となるため、働けない日が続くことは生活に大きな影響を及ぼします。以下では、派遣社員が病気や怪我で働けなくなったとき、生活を守るために利用できる保障制度についてご説明します。

休業補償

休業補償とは、仕事上または通勤中の病気や怪我が原因で働けなくなったときに賃金が補償される制度です。休業開始後4日目以降から休業が終了するまでの期間が対象となり、労働者災害補償保険法に基づいて給付基礎日額(休業開始日の直前3ヶ月間に受け取った賃金の総額を期間中の暦日数で割った金額)の80%が支給されます。内訳は、休業補償が60%、休業特別支給金が20%です。
休業開始から3日間は待機期間とされ、休業補償及び休業特別支援金は支払われませんが、派遣会社から給付基礎金額の60%が支給されます。ただし、待機期間に休日は含まれません。

休業補償が給付される条件

仕事上または通勤中の病気や怪我が原因で働くことができなくなった場合に給付される休業補償ですが、すべての病気や怪我に対して補償されるわけではありません。休業補償の給付を受けるためには、労働災害(労災)と認められる必要があり、病気や怪我の原因が以下の2つに当てはまることがポイントです。

①業務遂行性
業務を行う上で必要な作業や行為であることです。つまり、業務中に起きた怪我や病気は、労災と認められます。これは会社の中だけではなく、社外で起きた病気や怪我も含まれるため、営業で出かけているときや通勤中に起きた病気や怪我も労災として認められます。

②業務起因性
病気や怪我の原因が業務にあることです。例えば、工場での作業中に機械に巻き込まれたり、建設現場で高所作業中に転落した場合などに業務起因性があると判断されます。休憩時間中など、業務に関わっていないときに起きた病気や怪我は、労災として認められないので注意が必要です。

また、休業補償の給付を受けるためには働くことができない状態であることが前提なので、通常の業務ができなくても、簡単な作業であれば働ける場合などは、給付対象外となります。

休業手当

休業手当とは、会社の都合により働くことができなくなった場合に賃金が補償される制度です。会社は従業員に対して平均賃金の60%を支払わなければいけません。派遣で働いている場合も適用され、雇用元である派遣会社から派遣社員に対して休業手当が支払われます。

休業手当が給付される条件

休業手当が給付される条件は、会社の都合で働くことができない状態であることです。例えば、経営の悪化により一時的に工場作業を停止する場合などが該当します。会社が定めた休日やストライキ中などで労働の意思そのものがない場合、病気や怪我により働くことができない場合は給付対象外となります。また、台風などの自然災害により公共交通期間が利用できない場合なども休業手当は給付されません。

傷病手当金

業務外の病気や怪我の治療が原因で働くことができない場合に、生活を保障するために給付されるのが傷病手当金です。すでに別の原因で休業補償を受け取っている場合は、傷病手当金が併給されることはありません。ただし、休業補償の給付額が傷病手当金の給付額より少ない場合は、その差額分が支給されます。また、傷病手当金を給付できるのは、給付を開始した日から最長1年6ヶ月です。

傷病手当金が給付される条件

傷病手当金の給付を受けるためには、以下4つの条件をすべて満たす必要があります。

①業務外の病気や怪我で療養中であること
業務上や通勤中の病気や怪我は、休業補償の給付対象のため、傷病手当金の給付は対象外となります。

②労務不能であること
医師の判断で、療養のため仕事はできない状態であると認められる必要があります。

③4日以上仕事を休んでいること
傷病手当金は仕事を休み始めた日から3日間の待機期間を経て、4日目以降に給付されます。そのため、4日以上仕事を休まないと給付されることはありません。注意が必要なのは、給与の支払われない有給休暇や土日・祝日などの会社が定めた公休日も待機期間に含まれることです。例えば、土日が公休日の会社で金曜と土日をはさんだ月曜を休んだ場合、土日も待機期間に加算されます。

④休業期間の給与が支払われないこと
傷病手当金は、病気や怪我による休業期間の生活保障制度であるため、休業期間中に給与が支払われている場合は給付対象外となります。ただし、支払われた給与が傷病手当金の給付額より少ない場合は、その差額分の給付を受けることができます。

病気で困ったときに利用できるその他の公的な保障制度

派遣 病気
休業補償・休業手当・傷病手当金以外にも、病気や怪我の治療、後遺症などで働けない期間が続いたときに利用できる公的な保障制度があります。実際に利用することはなくても、いざというときに備えてどのような制度を利用できるのか把握しておきましょう。

障害年金

病気や怪我をして1年以上経っても回復をしない場合、「障害年金」の受給対象になる可能性があります。障害を負い身体が不自由な人や生まれつき知的障害がある人のためのものと思われがちですが、がんや糖尿病などの病気、うつ病などの精神疾患でも受給できることがあります。年金額は障害の程度に応じた障害等級で決まり、条件を満たした子供や配偶者がいると給付額が加算されます。

高額医療費制度

医療費が人々の生活を圧迫することがないよう、高額になった医療費をカバーする制度が「高額医療費制度」です。医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月で上限額を超えた場合、超えた金額を払い戻しされます。上限額は、年齢や所得に応じて定められており、いくつかの条件を満たすことにより、負担を更に軽減する仕組みも設けられています。ただし、払い戻しは医療機関等から提出される診療報酬明細書の審査を経て行うため、診療月から3ヵ月以上かかるので注意が必要です。

生活困窮者自立支援制度

経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある方は「生活困窮者自立支援制度」を利用することができます。これは個々の状況に応じた支援を行い、自立の促進を図ることを目的としています。あくまでも生活保護(※)の受給に至らないように自立を支援する制度であるため、基本は現金給付ではなく、経済的・社会的な自立に向けた相談支援が提供されます。

※生活保護・・資産や能力などのすべてを活用しても生活に困窮する人に対して、国が経済的な援助を行う制度

派遣社員が万が一の急病に備えるためには?

派遣 病気
ここまで派遣社員が病気になった際の契約はどうなるのか、利用できる制度についてお伝えしました。最後に、派遣社員が万が一の急病に備えるために事前にできることをご紹介します。

社会保険に加入できる働き方をする

社会保険は正社員しか加入できないというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、条件を満たせば、派遣社員でも社会保険に加入できます。そもそも社会保険とは、日本の社会保障制度の1つで、国民の生活を保障することを目的とした制度です。一定の条件を満たしている人は法律により加入が義務づけられています。社会保険の特徴は「被保険者と事業主(派遣会社)の双方で保険料を負担する」ことです。社会保険には、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労働者災害補償保険の5つがあります。それぞれの加入条件は以下の通りです。

■健康保険・厚生年金保険・介護保険
→下記①、②のいずれかに該当すること
①1週間の所定労働時間が派遣会社に勤める正社員の4分の3以上(1ヶ月の所定労働日数が15日以上かつ、1週間の所定労働時間が30時間以上)である
②下記の条件をすべて満たしている
 ・1週間の所定労働時間が20時間以上
 ・2ヶ月以上の雇用が見込まれる
 ・月額の賃金が88,000円以上
 ・会社の従業員数が101人以上

■雇用保険
→1週間の所定労働時間が20時間以上かつ、31日以上の雇用が見込まれること

■労働者災害補償保険
→加入条件はなく、就業開始した時点で自動的に被保険者資格を得ることができる
 なお、保険料は全額派遣会社が負担する

日ごろから派遣会社・派遣先企業と良好な関係を築いておく

意外と重要なのが、日ごろから派遣会社・派遣先企業と良好な関係を築いておくことです。休職ができるのか、退職扱いになるのかなどは、状況に応じて異なります。勤務態度が良く、会社への貢献度が高ければ、復帰できる可能性も高くなります。良好な関係を築くために、特別難しいことは必要ありません。自分の業務は責任を持って行う、些細なことでも連絡を怠らないなど、社会人としてのマナーをしっかり守ることが大切です。万が一、病気や怪我をしてしまったときに備えて、日頃からリスクを減らす働き方をしましょう。

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